Honey*Rabbit

□種ヶ島修二
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視点:入江一葉








コートの近くまで着くと、既にいる何人かの高校生の視線がこちらに向いてることが分かる。

徳川さんと一緒にいるからなのか、女が皆と同じデザインのジャージを着てここにいるからなのか、原因ははっきりとは分からなかったけど……

わたしはその人たちにペコリと小さく頭を下げると、徳川さんと手を繋ぎながら、一番端にあるらしい1番コートまで向かった。









*****









「徳川、どうしたんその子?」

コート着くと、誰かが関西弁の訛りのある口調で徳川さんに声をかけた。



「今日から1番コートに入ることになった入江さんの妹ですよ、種ヶ島さん」

「さよか」



種ヶ島さんと呼ばれていた銀髪で小麦色の肌をしたの彼は徳川さんとの会話を終えると、今度はじっと、わたしの目を無言で見つめてくる。

……思わずわたしも負けずと見つめ返した。



『…………』

「………」

『…………』

「…………」

終に堪えられなくなったわたしはパッと目を逸らし、恥ずかしさのあまり、徳川さんの背中に隠れるようにぎゅっと抱きついた。



「かわええ小動物ってとこやな。それに、えらく懐かれとんなぁ、徳川。ま、よろしゅうな、一葉」

『よ、よろしくお願いします……』

種ヶ島さんは面白そうに笑うと、踵を返してコートの反対側に向かっていった。









*****









『ねぇ徳川さん、種ヶ島さんって?』

「俺の一つ上の高3だ。そして今は1番コートにいるが、種ヶ島さんは本来一軍のメンバーの一人だ」

徳川さんはさらっとわたしの問いに対して答えてくれた。



『一軍なんですか……!でもコーチさんによると一軍は一昨日から海外遠征に行っているんじゃ……?』

「飛行機が嫌いという理由で行かなかったそうだ」

何か勿体無い気もするけど、嫌いじゃしょうがないのかな。

疑問を持ちながらも、わたしはその場で徳川さんと別れた。








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