Honey*Rabbit
□種ヶ島修二
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視点:徳川カズヤ
朝食も摂り終わり、俺と一葉はコートに向かっていた。
それより……
「何故俺の後ろを歩いている」
一葉は小走りで俺の後ろをついて来ていた。
その姿は、親を追いかけるひよこのようにも見える。
『一緒に行ってくれるんじゃなかったんですか……?』
「俺が聞きたいのはそこではなく、何故"後ろ"なのかと聞いている」
俺がそう言うと一葉はほっとした表情をした。
『えっと……何となく、です?』
本当にそうだったのか否か、一葉はキョトンとした表情で首を傾げてみせた。
俺はそんな一葉の小さな手を掴むとその手を引き、自分の左側へと誘導した。
『徳川さん?』
「後ろにいられるよりこっちの方がいい」
一葉は何故か嬉しそうに微笑んだ。
俺は手を離そうと力を緩めた。
だが、その俺の手に一葉からぎゅっと小さな力が加わった。
「どうした?」
『このまま繋いでちゃ駄目ですか?』
俺に尋ねる一葉は身長差のせいもあり、必然的に上目遣いとなってしまう。
(それは反則だろう……)
俺は返事の代わりに優しく握り返した。
何故こんなにも俺の胸がざわめくのか、その理由が分からなかった。