Honey*Rabbit
□好きは紛らわしい
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視点:入江一葉
翌朝。
もぞもぞベッドの中でもがきながら棚に置いておいた時計を見ると、目覚ましをセットした時間の1分前のようだった。
周りを見渡すといつもと違う部屋の風景。
(あ、そうだ……兄さんに連れられて合宿所に着たんだっけ?そこで徳川さんや鬼さんや大和さんに出会って……それにしても、すごく寝心地の良い布団だなぁ)
わたしは布団の中の温もりを感じながら、再び眠りについてしまいそうな気分に浸っていた。
pipipipipi…
だが、そう思っている間にも1分経ってしまったようで、わたしは鳴り響く目覚ましを止めるとゆっくりとベッドから抜け出た。
歯磨きをしてから洗顔を済ませ、化粧水をペチペチと頬を軽く叩くようにしてから両手で顔と包むようにして馴染ませ、乳液で肌を整えた。
そして、机の上に畳んで置いておいたスコートを履き、シャツを着て上にジャージを羽織る。
(わたし、服のサイズ誰かに教えたっけ?)
ジャージだからあまりサイズは関係ないと思ったが、それ位、身体に馴染む着心地だった。
『でも……これだけじゃ寒いかも』
寒さに弱いわたしはそう思い、念の為にと荷物に予め入れておいた短めの黒いスパッツを出してスカートの下に履いた。
着替えを済ませ、髪もオレンジ色の櫛でさっと梳かし、わたしはレストランに向かった。