Honey*Rabbit
□うさぎのような
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視点:徳川カズヤ
練習の時間が終わり、ロッカールームで着替えた後、俺は風呂に行く準備をしに部屋に戻りドアを開けて中に入った。
『スー……スー……』
俺は思わずそこで足を止めて留まった。
ほんの微かに規則正しい呼吸音が聞こえたのは気のせいか?
同室の入江さんや鬼さんが戻ってきていたとしてもこの時間に寝るだろうか。
俺はドアを閉め、疑問を抱いたまま中に入った。
「なっ……!?」
呼吸音の正体を見つけた俺は驚愕した。
そこには、入江さんのベッドで気持ち良さそうに布団に包まって寝ている見知らぬ少女の姿があった。
(それにしても何故この合宿所に女がいる?ましてやこの部屋に……不法侵入者か?)
内心驚きつつ、俺は様子を確認をしようと、その少女の方へ近付いた。
白く透き通った綺麗な肌に長い睫毛。
ほんのりとほど良く桜色に染まった健康そうな頬。
指通りの良さそうなゆったりとした癖のある亜麻色の髪。
布団の隙間から出ている細い手首と小さな手。
あまりにも無防備過ぎる姿。
年は同じ、または年下か。
俺は、飾らなくとも無垢で純粋な印象を受けたその少女に目を奪われた。
(それに、誰かに似ているような気がするが……)
そんな疑問を持ちながらも、その不思議な少女の様子をじっと見つめていた。
そして、無意識にその綺麗な頬に触れていた。