Honey*Rabbit

□兄の作戦
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視点:入江一葉








部屋のドアを閉め、100号室に向かおうと踵をかえすと、直ぐそこには壁に寄りかかっている兄さんが居た。

兄さんはわたしに気づいたのか、微笑みながら向き直った。



(もしかして……)

『待っててくれたの……?』

「うん、話はどうなったの?」

『練習は明日からで、1番コートの人達と一緒に行動するらしい』

わたしがそう伝えると、兄さんは少し考える仕草をした。



「1番コート……それじゃ徳川の所ね」

兄さんは小さく呟いた。



「そうだ、一葉、102号室においで。一葉の荷物も一旦そこに置いておいたから取りに行くついでにね」

(102号室ってことは兄さん達が使ってる部屋かな?)



『わたしは別に良いけど、兄さんは練習良いの?』

窓からテニスコートを見てみると、沢山の高校生が同じデザインのジャージを着て練習に励んでいるのが分かる。





「大丈夫だよ。それに駄目だったら一葉を迎えに行く許可も出なかったよ?」

『うーん……それじゃ、お邪魔させていただこうかな』

今度はわたしから、兄さんの手に自分の手を重ね、指を絡めた。



「ふふっ、どうぞ」

兄さんはそのままわたしの手を引いた。








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