Honey*Rabbit
□コーチさん達
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視点:入江一葉
「着いたよ、一葉」
『何か……すごいね』
バスを降りて少し歩き、門を通るとそこには沢山のテニスコートと合宿施設であろう場所に辿り着いた。
最先端だし、何ていうか、すごくお金かかってる感じ。
キョロキョロと興味津々に周りを見渡すわたしを見ると、兄さんはクスリと笑みを漏らした。
「ほら、荷物なら僕が持ってあげるから。コーチ陣に挨拶しに行こうか」
兄さんはわたしが両腕で抱えていたバッグをひょいと左手で取り上げると、反対側の手でわたしの手を包み込むように優しく握った。
『うん、ありがとう』
温かな手の温もりを感じながら、わたしもその手を握り返した。