賢者の石
□07.課外授業
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残り1週間の予定は決まった。
午前はピーブズとホグワーツ探検、午後は地下牢教室で魔法薬の調合、夜は部屋で勉強だ。
『アクシオ!ルーモス!……よし。順調順調』
欲を言えば防衛術も教えてほしかったが、入学式前の忙しい時期にそこまでわがままも言えない。
1人でやる呪文の練習には限界があるものの、危険のない範囲の呪文はある程度できるようになった。
『ウィンガーディアム・レヴィオ〜サ!……だめかあ』
ユイは長い呪文は苦手だった。
発音とか間合いとかがうまくいかない。
なんらかの力が働き、会話も筆記も問題なくできているが、そもそも英語が大の苦手なのだ。
英語独特の発音の呪文にどうしても慣れない。
『ヴィって何よヴィって!』
枕に八つ当たりしながら、一発で成功したハーマイオニー・グレンジャーのことを思う。
『すごいなあ……きっと努力の賜物、よね』
彼女は天才ではない。
入学式までに教科書を暗記してくるほどの努力家だ。
ハーマイオニーより強くなるには、彼女よりも勉強して練習をしなくてはいけない。
『せめて、肩を並べて戦えるくらいにはならないと』
これから来る未来に立ち向かえるように。
ユイはもう一度呪文を唱え、オルゴールが宙に浮くのを確認してから静かに眠りについた。
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