後日談
□新婚生活
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ことの始まりはトンクスからの手紙だった。
月に1〜2回やりとりをする手紙の内容は主に近況報告とノロケ話で、トンクスはテッドの成長ぶりと同じくらいたくさんリーマスの様子を書いてくる。
そしてある日、「ユイの新婚生活はどう?」と聞いてきた。
『新婚……』
口に出して言いながら、頬が熱を帯びるのを感じた。
トンクスの手紙に書いてあったリーマスとの日常をスネイプと自分に当てはめてみて、ますます顔が熱くなる。
『無理無理恥ずかしいっ!』
手紙相手に照れる姿は異常でしかなく、パンジーがいたら間違いなく病院行きを勧められるだろう。
が、1人部屋では止めてくれる人もいない。
誰が見ているわけでもないので、ユイは気にせず独り言を続けた。
『新婚生活かあ……』
思えば自分達に“新婚っぽさ”はまったくと言っていいほどない。
去年の夏休みは、ユイがスネイプのプロポーズに気づかなかったせいで、今までとなんら代わりない休暇だった。
クリスマスに改めて結婚を申し込まれ、幸せいっぱいな気持ちになったが、報告まわりと説得で忙しく、満喫する暇はなかった。
イースター休暇も同じだ。
つかの間の帰宅で呼び方を強制されたことが唯一それっぽいが、あれは条件があって仕方なくだったし、ファーストネームで呼ぶことが新婚とは言えない気もする。
学校ではもちろんそんな雰囲気は出さない。
結婚の話を出すなと釘をさされたばかりだ。
『スネイプ教授と新婚生活……し、したい……!』
夏休みになれば新婚っぽい生活が送れるのだろうかとユイはニヤけながら妄想に浸った。
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