不死鳥の騎士団
□23.崩壊と再建
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それは突然やってきた。
ユイが監督生の仕事をしていたときに、「大ニュースだ!」と言いながらフレッドとジョージが玄関ホールに飛び込んできた。
クィディッチの練習を終えたばかりの格好のまま、箒にのったまま、である。
すぐに玄関ホールには人だかりができ、ちょっとしたイベントのようになった。
だが、フレッドとジョージが言う“ニュース”が、新商品の開発に成功したとかいう類のことではないことは見て取れた。
いつもの面白がる口調ではあるが、どこか不安そうな、不満そうな色が混ざっている。
「ハリーはどこだ?」と聞いているが、クィディッチの練習での出来事が原因というわけでもなさそうだ。
集まった生徒達が口々に何事かと尋ね、大広間の方から騒ぎを聞きつけたマクゴナガルがやってくる。
箒から降りるよう注意された2人は、地面に降りることなく興奮した声で「「ファッジが来た!」」と声を揃えた。
「大臣がホグワーツへ来る予定はありませんよMr.ウィーズリー。箒から降りなさい」
「「でも来た」」
「見間違いでしょう。箒から降りて寮にお戻りなさい」
「上空からだし」
「遠かったけど」
「「あれは魔法省の連中以外考えられない」」
「どうしてです?」
「「なぜって――」」
顔を見合わせたフレッドとジョージに、その場にいた生徒達の視線が集まる。
マクゴナガルも、もはや箒から降りるよう注意することも忘れて、2人の次の言葉を待った。
「「アンブリッジが一緒だった」」
フレッドとジョージはさらに状況を説明したが、ざわついた玄関ホールで声を拾うのは困難だった。
かろうじて聞き取れた部分をまとめると、“ホグズミードの方へピンクの小さな丸い塊が向っていくのが見え、何事かと思って見ていたら、しばらくして数人を連れて戻ってきた”ということらしい。
マクゴナガルは「そんなはずはありません」の一点張りだったが、フレッドとジョージも「すぐにここに登場するさ」と言って引かない。
「抜き打ち検査じゃないか?」
「あいつらならやりかねない」
「ええ、そうかもしれませんね。それではMr.ウィーズリー、2人はすぐに箒から降りて着替えた方がいいでしょう。あなたたちもこんなところに集まっていないで、魔法省に付け入られる隙がないようにしておきなさい」
下手をすれば退学にさせられるかもしれないという緊急事態に、生徒達は慌てて服装を正し、寮に駆け戻った。
出来た隙間にフレッドとジョージは降り立ち、ユイを捕まえてハリーを知らないかと聞いてきた。
「アンブリッジのやつ、俺たちを捕まえられないからって気が立ってるんだ」
「ファッジまで連れてきて、いよいよ力づくでハリーを退学にさせる気か?」
『わからないわ……2人も気をつけて』
寮へ戻る生徒達に紛れてマクゴナガルが急ぎ足で大理石の階段を上っていくのが見え、ユイは2人への返事もそこそこに、急いで後を追った。
アンブリッジがハリー1人のためにわざわざファッジを呼び寄せるとは思えない。
規則違反の証拠を捕らえることすらできないだなんて、自分の恥をわざわざ言うはずがない。
(だとしたら――)
目的がハリーではないとすれば、残る可能性はあと1人。
マクゴナガルの合言葉によって左右にどいたガーゴイル像が元に戻る前に、かろうじてユイは動く螺旋階段に飛び乗った。
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