不死鳥の騎士団
□4.グリモールド・プレイス
1ページ/6ページ
ハリーを迎えに来た面々は、家の中にもう1人いることに気づいて驚いたようだった。
暗い階下から、ピリッとした緊張感が走る。
「ユイ、誰が来たの?」
ハリーの不安そうな声を聞いて、緊張感は一瞬にして消え去った。
「ハリー、一緒にいるのはユイなのか?」
「ル、ルーピン先生?」
懐かしい声を聞いて、ハリーの不安も吹き飛ぶ。
トンクスによってルーモスが唱えられ、辺りが明るくなったことをきっかけに、ハリーは階段を駆け下りた。
ハリーに続くユイに、注目が集まる。
リーマスが、何か周りの人に説明しているようだった。
「おまえさんを助けに来たぞ」
「ムーディ先生!」
ムーディの言葉で、視線はハリーに戻った。
ジェームズに生き写しだ、目はリリーの目だといつものやり取りが行われる中、ムーディだけは魔法の目をぐるぐると動かし、怪しむようにハリーとユイを見ていた。
「ルーピン、たしかにポッターとモチヅキだと思うか?」
ムーディは、本人しか知らないようなことを質問してみた方がいいと唸った。
「誰か“真実薬”を持っていれば別だが」
『私、持ってます』
「使う必要はないよ。その分だとユイに間違いなさそうだけど……2人とも、守護霊は?」
『ユニコーン』
「牡鹿」
リーマスの質問に、ユイは笑って、ハリーは緊張して答える。
ハリーに手を差し伸べて握手をしながら、リーマスはムーディに「大丈夫だ」と言った。
「マッド-アイ、間違いなくユイとハリーだ」
「ユイの方は聞いていた姿とだいぶ違うわね」
『今日はちょっとイメチェンで大人の姿になってます』
「へえ!まさかあなたも七変化できるの?」
『私の場合は薬漬けです』
「薬漬けって!ハハッ!あなた面白いわね!」
トンクスは軽快に笑って、自己紹介をした。
それから順番に、名前を名乗り始める。
ハリーは一人ひとりにぎこちなく頭を下げながらも、視線は常に知り合いのリーマスとムーディの方を向いていた。
「僕を助けに来たっておっしゃいましたよね?」
「ああ」
「どこへ行くんです?僕、ホグワーツを退学になるって……」
「ならんよ。まだな――キングズリー、前へ」
ムーディはハリーとユイを外に出しながら、キングズリー・シャックボルトに前へ出るよう告げた。
キングズリーは「了解」と返事をしながら、ハリーに心配するなと励ました。
「ダンブルドアの説得で、処分は懲戒尋問まで保留になった」
「尋問?」
「大丈夫、本部に着いたら説明してあげる」
「しっ、ここで言うなニンファドーラ」
「あのね、ニンファドーラって呼ばないで!」
赤い髪の色で怒りを表現したトンクスを無視して、ムーディがコツッコツッと地面を杖で2回叩く。
すると、どこからともなく各々の手に箒が飛んできた。