炎のゴブレット
□19.玉子と目玉
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クリスマスの翌日は、みんな朝寝坊した。
昨日なかなか眠れなかったユイも、あくびをしながら談話室に下りる。
談話室では、パンジーがいつも以上にドラコにベッタリしていた。
「ユイが寝坊なんて珍しいな……まだその格好をしているのか?」
『薬の効き目がきれないみたい。パンジー、昨日はありがとう』
「なんのことかしらね」
クスクス笑うパンジーは非常に上機嫌で、ドラコもパンジーを引き剥がそうとしなくなっているから、あの後も上手くいったんだろうなということがわかる。
1日たった今も、ユイの姿は大人の姿のままだった。
パンジーを問い詰めてみると、計画の為に瓶を1つくすねていたことを明らかにした。
パンジー曰く、“分量がわからないからとりあえず全部入れた”らしい。
(もったいないことを……)
おそらく1週間くらいはこのままだろう。
大人の姿になっていること自体は問題ないのだが、薬を飲んだときに身につけていたものしか大きくならないから、服をいちいち大きくしなくてはいけなくて面倒だ。
「しかしユイがまともに踊れるようになっていたとは驚きだな」
「ねえ、あの後どうなったのよ」
仲良く手をつないで昼食を取りに行くパンジーとドラコの質問攻めに、ユイがうんざりしてきた頃、パンジーがニヤニヤしながらユイを肘でつついた。
「スネイプ先生がこっち見てるわよ」
『え?』
ユイがいる場所からはちょうど対角線上にある、教職員席の端を見ると、確かにスネイプがこちらを見ていた。
ユイが手を振るより早く、目を逸らされてしまったが。
『“なんでその姿のまま出てきた、踊った相手がバレるだろう馬鹿者が!”ってとこかしら?』
「……もっと色気のある考えできないわけ?」
『じゃあ、スネイプ教授がパンジーの言うような“色気のある理由”で、私を見たりすると思う?』
「思わないわ」
「思わないな」
パンジーとドラコに同時に即答され、ユイは苦笑いをするしかなかったが、スネイプ以外にはユイの姿は好評で、特にシリウスはパンジーのいう“色気のある理由”でユイを見ていることが多かった。
フレッドとジョージにいたっては、毎日のように薬の定期購入を勧めてきた。
無償でくれていたのが、購入に変わっているあたり、ちゃっかりしているなと思わざるをえない。
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