アズカバンの囚人
□07.縮み薬
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医務室暮らしもなかなかいいかもしれない。
小鳥のさえずりに目を覚ましたユイは、静かな医務室で大きく伸びをした。
マダムの監視の目は厳しかったが、ずっと張り付いているわけではないのでわりと好きな時間まで起きていられたし、スネイプの部屋にはない種類の魔法薬を見ることができる。
数日間授業に出られないのは残念だけど、課題はハーマイオニーが持ってきてくれていたし、魔法薬学と防衛術の授業さえ出れれば――。
『あああああっ!』
「なんだよ、朝からうるさいな」
『ドラコ起きて!今日は木曜日よ!!』
「そのくらいわかってる」
『魔法薬学の授業があるのよ!?寮監の授業をサボる気?てゆーか、出られなかったら恨むわよ!』
「でもこのケガじゃ退院できるかどうかまだ……って、どこいくんだ?」
『マダム!マダム!ちょっとドラコのこと見てください!』
「ひっぱるな!校医は今日は午後にならないと来ないって言っていただろ!」
『なんですって!?』
「離せ!そして落ち着け!」
わめくユイをなだめるのにドラコは苦労した。
授業に出なくても怒られないし、作れるだろと言っても『そういう問題じゃない』と言って聞く耳を持たず、挙句の果てには『禿呪いかけてやる』とまで言い出した。
聞いたことない呪いだが、ユイなら知っていそうで怖い。
こんなに無茶苦茶な奴だったか?とドラコは戸惑った。
『ドラコ、授業出れるわよね?』
「出るよ。出ればいいんだろ!もう大丈夫だって言えばいいんだろ!?」
『うん。わかればよろしい』
にこっと笑ったユイの背後に黒いオーラを垣間見た気がした。
『よし、じゃあやるわよ』
「何を?」
『予習よ』
開始時間に遅れてもいいように作り方を確認しておくわよと、ユイはあっけに取られるドラコに縮み薬の作り方を指導し始めた。
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