秘密の部屋

□11.取調べ
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それから数日、学校中が事件の話でもちきりだった。

犯人は誰なのか、どうやって猫を石にしたのか、秘密の部屋とはなんなのか――。

さまざまな憶測が飛び交い、図書館からはホグワーツの歴史に関する本がごっそり姿を消した。

特に秘密の部屋に対しての関心は高く、本を借りられないことに耐えかねたハーマイオニーが魔法史の授業での史上初となる質問をするほどだった。

そして、秘密の部屋の歴史がわかると、生徒たちの関心は“継承者は誰か”という方向へ向いた。


スリザリンには純血主義でマグルを良く思っていない人たちが少なからずいて、彼らは口を揃えて継承者を褒め称え、敵の排除を望んだ。

“穢れた血”という言葉が今まで以上に耳に入るようになり、ユイはうんざりしていた。


(何よ、遺伝的には純血を守るために近親婚を繰り返すほうがよっぽど血は穢れるって言われてるのに)


スネイプに呼び出されているということを伝えられたユイは、待ってましたとばかりに寮を飛び出した。



***




授業が終わると誰も寄り付こうとしない地下牢を訪れたユイは、1番前の席で頬杖をつきながら教卓のほうを眺めていた。

相変わらず全身真っ黒のセブルス・スネイプの視線の先では紫色の液体が入った小瓶がゆれている。

不機嫌そうに眉間に皺をよせる表情も見方によっては真剣な目つきに見え、瓶を片手に熟考する姿はまさに教授、研究者といったいでたちで非常に絵になる。


(うーん、文句なしにかっこいいわ……)


学校中がミセス・ノリスの一件で浮き足立つ中、この空間だけはいつもと変わらない落ち着いた空気が流れていて安心させられる。

ユイは、自分が疑われているということも忘れてスネイプに見とれてた。


そう。

ユイは疑われていた。

嵐の日にユイがミセス・ノリスに触ろうとしていたこと、掃除中にウィーズリー兄弟と話していたこと、そのとき怪しげな液体を持ってきたこと――。

数々の状況証拠があるのをいいことに、フィルチはハリーへ報復ができないとわかった途端、標的をユイに変えた。

あの液体が猫を石化させた薬に違いないと、スネイプにユイの調査を依頼したのだ。

そして、スネイプがユイを呼び出し今に至る。


ユイは、1日中こうしていられるなら犯人と疑われても構わないと思った。
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