秘密の部屋

□09.絶命日パーティ
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10月になり、風邪が流行し始めると、ユイは大忙しのマダム・ポンフリーの手伝いをして校内を駆け回っていた。

常連だからというわけのわからない理由で、12歳のユイが助手もどきに大抜擢されたのだ。

助手もどきといっても、絶え間なく訪れる患者の対応に追われるマダム・ポンフリーの代わりに材料をもらいにいったり、“元気爆発薬”以外の薬の調合を任されたスネイプの手伝いをしたりするのが主な仕事だ。

擦り傷や打撲などの軽い怪我の治療を任されることもあった。

宿題をやるのが精一杯の日々が続く。

ある日、土砂降りの雨の中クィディッチの練習をしていて風邪を引いたマイルズ・ブレッチリーを医務室に連れて行った後(フリントがキーパーがいないと練習にならないとしぶったから時間がかかった)、不足した材料をとりにスネイプの部屋へ行く途中でユイは泥の足跡を発見した。


(ハリーかな?)


往復分の足跡がついているということは、すでにフィルチの事務室へ連れていかれた後なのだろう。

足跡を追っていくと、ほとんど首なしニックとの会話が聞こえてきた。



「首なし狩のことだけど、僕に何かできることがあるといいのに」

「それが、していただけることがあるのですよ。ハリー――もし、あつかましくなければ――でも、だめでしょう。そんなことはお嫌でしょう……」

「なんなの?」

「えぇ、今度のハロウィーンが私の500回目の絶命日にあたるのです」



500回目の絶命日パーティへのお誘いだった。

もうそんな日になるのかとユイは時間の経過の速さを感じた。

ハロウィーンの日、バジリスクによる最初の犠牲者――ミセス・ノリス――が石にされる。

いくら後で蘇生されるからといって、気分のいいものではない。

手出しはしないと決めたし、どうしようもないことだと自分に言い聞かせ、ため息をついて来た道を戻り始めると、タイミングよくミセス・ノリスが曲がり角から現れた。
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