アズカバンの囚人
□3-20.5 裁判の行方
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「通りで……最近1人でいることが少ないと思った」
『ははっ……監視状態よ』
「そんなの無視すればいいのに」
『それ私についてきてるノットが言う?まったく、ノットがドラコの提案に協力するなんて意外だわ』
週末、ハグリッドの小屋に行こうとこっそり談話室を抜け出してきたユイに、ノットがついてきた。
このままハグリッドのところに行くわけいにはいかないし、どうしたもんかとユイが考えていると、ノットは「俺は協力してるわけじゃないさ」と微笑んだ。
「たまたま俺も行くところがあったし……ユイと話がしたかったからついてきただけだ」
『そうなの?』
ノットはどこへ行くところのかと尋ねると、「図書館」という答えが返ってきてユイは驚いた。
図書館はとうに過ぎている。
「散歩ついでに送っていくよ」
『いいの!?』
「誰かと一緒じゃないと自由に動き回れないんだろ?」
『わぁ、ありがとうノット!』
「俺も名前で呼んでくれる?ファミリーネームだと壁を感じるんだ」
『うーん……セオドールって長いから言いにくいのよね……』
「気が向いたらでいいから。じゃ、俺はもう行くよ。またどこか行きたいところがあったら声かけてくれ」
小屋へ向かう長い回廊の手前までくると、ノットは立ち止まった。
ここから先はスリザリン生に会う可能性は低い。
ノットにお礼を言い廊下を走ると、後ろから「あ、忘れてた!」と声が響く。
ユイが振り返ると、ノットは周りを見渡した後、早口で告げた。
「さっきマルフォイが荒れてたから気をつけた方がいい」
『あら、なんでだろ』
「さあ……父親から手紙が来ていたみたいだ」
『そっか。ありがとう!』
(裁判についてかな?)
ドラコが不機嫌になっているということは、ユイの作戦がうまくいった可能性が高い。
ユイは足早にハグリッドの小屋へ向かった。