アズカバンの囚人

□3-5.5 変身術
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「ユイ、さっきの話はどういうことだ」



廊下に出るなりドラコがユイの腕をつかんできた。



『どうって……?』

「ポッターについてだ」

『え?』

「だから――ユイはポッターが好きなのか!?」



イライラしすぎて思わず大声を出したドラコの言葉が廊下中に響く。



『な、なんでそうなるのよ!』

「え、さっきのってそういう意味だったの?」

『違うわ!』



どっから出てきたのか、気づくとクラッブとゴイルのポジションにはノットとザビニがいた。



「ずるいよなーポッターのやつ。ユイ、俺にもウインクしてよ」

『あのねえ、ザビニ、今そういう話してるんじゃないの』

「じゃあどういう話?」

『ノットまで!ノットは真面目な良識人だと思ってたのに!』

「ノット“は”ってひどいな……みんな同じこと考えてると思うけど?」



ザビニの言葉に嫌な予感がし、ユイが周りを見渡すと、廊下中から好奇の目が集まっていた。



『な……』

「ほら、ユイってモテるからさ……みんな興味津々なわけ」

『ただの面白いもの見たさでしょ』

「そんなことより僕の質問に答えろユイ。前々からポッターと仲がいいと思ってたら、そういうことなのか!?」

『違うに決まってるでしょ!大声で誤解を生むような発言しないで!』



すでにあちこちでヒソヒソと何かを話し始めている。

こういうのは尾ひれやらなにやらがついてどんどん話が大きくなるのだ。



「確かにスリザリンの姫をグリフィンドールに持ってかれたなんて広まったら恥だよなー」

『いいかげんにしてザビニ!――ちょっとノット、傍観していないでザビニをなんとかしてよ』

「だってさザビニ。昼食行くぞ。……ユイ達も早くこの場を離れたほうがいいんじゃない?」

『そうね、ノットさすがだわ。ほら、ドラコも馬鹿げたこと言ってないで御飯行くわよ』



***


(うかつだったわ……)


ただでさえ噂が広まる速さはピカイチのホグワーツ。

噂の対象がハリー・ポッターとユイ・モチヅキという二大有名人ともなれば、電光石火のごとく、だ。

ユイ達が大広間に行くころには既に大半の生徒に知れ渡っているらしく、ハリーも気まずそうにして座っていた。



「聞いたぞ姫」

「ハリーを落とすって宣言したらしいじゃないか」



ハリーをいじっていたフレッドとジョージはターゲットをユイに変更して飛んできた。



「実は今とっておきがあるんだ」

「スネイプに内緒で材料を失敬して作った愛の妙薬だ」

「「今なら安くしておくよ」」

『いらないわっ!』


(ん?スネイプ教授?)


2人を振り払ってもなお次々と知らない人からも話しかけられ、ハリーを狙っているであろう女の子に睨みながら話しかけられ始めたところで、ジョージのセリフにユイはこの状況を打開すべくいい案を思いついた。



***
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