秘密の部屋

□2-* 親父にもぶたれたことないのに!
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(気に入らない……)


僕がこれほどユイに気を使っているというのに、彼女は僕の言う事をちっとも聞きやしない。

廊下でグレンジャーと親しく話すユイの姿にドラコは顔をしかめた。

ポッターとウィーズリーも加わりレポートか何かの話をしているようだ。

スリザリン生のくせにグリフィンドールの連中に気軽に話しかけるなんて。

あいつらに気を許すなと何度言えばわかるんだ。


(ちっ……)


僕に気づいたウィーズリーがポッターを肘でつつきこちらを見てニヤニヤしている。

ドラコはついカッとなって杖を取り出すが、廊下の先にマクゴナガルの姿を見つけて舌打ちをして杖をしまった。

やつらに一撃浴びせられないのは癪だが、ユイの目の前で減点され呆れられるのは避けたい。


(……なんでこの僕がユイの目をきにしなくちゃいけないんだ)


最初は、僕より目立ち、もてはやされるユイが気に入らなかった。

僕の言う通りに動かしてやろうと思った。

でも僕がどんなに嫌味を言おうと、家の権力を振りかざそうと、ユイは一向に気にするそぶりをみせない。

ユイは周りのやつらとは違い、僕に媚びないばかりか、平気で僕に意見し手を上げる。

ルシウス・マルフォイを父に持つこの僕に、だ。


良くも悪くもユイは僕をマルフォイ家の人間だからと特別扱いしない。

全力で僕にぶつかってくる。

クィディッチの選抜試験に受かったのを素直に喜んでくれたとき、特別扱いされないことが良いことだと初めて思えた。







父上にユイのことを話したら、父上もユイのことに興味を持ったみたいだった。

家に招いてみろと言われ、夏休みに招待したが、あれは失敗だった。

ユイの変人っぷりが遺憾なく発揮されていたし、父上は協力してくださるどころか新しいおもちゃを見つけたかのような反応をしていた。

挙句の果てに僕に「欲しいと思ったものはどんな手段を使ってでも手に入れるのがマルフォイ家だ」「押してだめなら押し倒せばいい」とか言い出す始末だ。

父上は僕が1番尊敬している人だったから、この発言は正直ちょっとショックだった。

母上は母上ですっかりユイが気に入ったようで、次はいつ連れてくるのとか、娘になる日が待ち遠しいとか言っている。


違う、そうじゃない。

別に僕はユイをそういう意味で振り向かせたいんじゃない!
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