秘密の部屋
□2-2 隠れ穴
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「僕、君に1ダースも手紙を送ったんだよ。なのに君からは1通だって返事がこなかった。だから僕、ユイに言ったんだ、ハリーが手紙をくれないって」
「そしたら君がマグルに閉じ込められてるんじゃないかって返事が来たわけだ」
「“とらわれのお姫様を助けてあげて3人のナイト様”ってね!」
「半信半疑だったけどさ、まさか鉄格子まではめられてるなんてね。」
ロンは大げさに驚いた後、眉をひそめた。
「それにしても、どうして僕らが来るまでおとなしく待ってなかったんだ。パパから聞いたよ。君がマグルの前で魔法を使ったから、公式警告状を受け取ったって……」
「僕じゃないよ!」
ハリーは自分への警告のこと、デザート騒動のことなどを全部話して聞かせた。
フレッドはその話を聞き、屋敷しもべは魔力はあるが主人の許しがないと使えないと説明する。
誰か恨まれるようなやつはいないかとハリーに問いかけると、ハリーとロンは同時に答えた。
「いる」
「ドラコ・マルフォイだ」
「ドラコ・マルフォイだって?」
運転席からジョージが振り返る。
「ルシウス・マルフォイの息子じゃないのか?」
「たぶんそうだ。ざらにある名前じゃないもの。でも、どうして?」
ハリーの問いかけにフレッドとジョージが交互に“例のあの人”の大信望者だったことを説明する。
マルフォイの家なら屋敷しもべがいてもおかしくないなとうなずきながら聞いていたロンが、突然何かを思い出したかのようにハッと息をのんだ。
「どうしたの?」
「僕、すごいこと思い出しちゃった。……ユイは、今マルフォイの家にいる」
「「なんだって!?」」
衝撃の事実にガクンと車が揺れる。
「おいおいロニー坊や、そういう大事なことはもっと早く言うもんだ」
ジョージがハンドルを握り締めロンをなじる。
ルシウス・マルフォイの家だ。何が起こるかわからない。
ハリーよりも先に助けに行くべきだったんじゃないかとフレッドも続けた。
「どうする?このまま姫を助けにいくか?」
「でも、場所が分からないよ。それに……ユイは手紙ですごい楽しみにしてた」
「楽しみだって!?正気か!だって…」
ハリーは驚きのあまりそれ以上言葉が続かなかった。
スネイプのことを信頼しているだけでも信じられないのに、マルフォイの家に喜んで行くなんて。
口をあけたまま固まるハリーを、ロンが「気持ち分かるよ」と慰めた。
「僕もあまりの衝撃で今まで忘れてたんだ」