賢者の石
□[番外編]1-5.ダイアゴン横丁(服屋編)
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「Ms.モチヅキ」
『はい、なんでしょう!』
ユイは意見を言ってもらえるのかとスネイプに期待の眼差しを向けた。
「さきほどから同じような服ばかり選んでいるが……」
“魔女なら黒よね!”とか“でもローブも髪も黒いから、どこかに指し色がほしい!”とか色にこだわりを持つのは結構だ。
だが、“着れるうちに着ておかないと”と妙なこだわりを持ってワンピースかスカート(しかもわりと短い)ばかり選んでいるのはいかがなものか。
断じてこの小娘のことを心配しているわけではない。
素朴な疑問なのだと自分に言い聞かせて質問する。
「そのような格好でほうきに乗るつもりではあるまいな?」
質問の意図に気づいたらしいユイはスカートのすそをつまんで少し考えるそぶりをしてから、とんでもないことを言い出した。
『あー……、パンツはいてるから大丈夫です』
「「は!?」」
スネイプとマダム・マルキンの声が重なった。
一瞬凍りついた空気にあわててユイが付け加える。
『あはは。冗談ですって。マルキンさん、ショートパンツありますか?』
「あるけど、落ちた時のこと考えて、長ズボンのほうがいいんじゃないのかい?」
『いや、いいです。痛いのは我慢します』
足出せるときに出しておかなきゃなんですよ!!と力説したユイは、マダム・マルキンに大笑いされる。
「お嬢ちゃんはおもしろいね」
うんとまけてあげるよ!というマダム・マルキンに大喜びのユイ。
「……付き合いきれん。」
これ以上ここにいては頭がおかしくなる、とスネイプは一足先に外へ出た。
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