番外編

□7-* 地獄の罰則
2ページ/6ページ

唯一楽しそうに聞いていたルーナが、途中で手を上げた。



「それはちょっと難しいと思うよ。だって、ダンブルドア軍団の結成は校則やぶりになるもン」

『すぐに見つかるような派手なことをやったり、スネイプ先生に攻撃を仕掛けたりしなければいい、ということよ』



いつの間にかスネイプの真似は終わっていたようだった。

教室もランプが灯って明るくなっている。

すっかり気を抜いたシェーマスが、口を大きく開けて伸びをした。



「何かあっても、ユイが今回みたいに助けてくれるんだろ?」

『なるべくはね。でも目の届く範囲は限られているから、控えてくれると助かるわ』

「親衛隊への攻撃はいいの?」

『怪我をさせなきゃいいけど――捕まったら今日みたいに罰則をしてもらうわよ』

「ユイの罰則なら歓迎だよ。なあネビル」

「えっと……」



なぜかネビルは頷けなかった。

頷いてはいけない気がした。



「ユイの罰則って何?」

「何言ってるんだよネビル、今の説教が罰則に決まって――」

『書き取りよ』



シェーマスの言葉を遮り、ユイがにっこり笑った。



『スネイプ校長の長所の書き取り』

「……え?」



一瞬、シンと静まり返った。

ここに来たとき同様の目配せが、4人の中でゆっくりとなされる。



「はははっ、そりゃいいね、まさに罰則にうってつけ――……マジ?」

『マジよ』



シェーマスが笑い飛ばしているところに羊皮紙が配られ、4人は凍りついた。

どうせ形だけだろうという4人の願いもむなしく、続けてインク瓶と羽ペンが並べられる。

ネビルはほとんど無意識に羽ペンに手を伸ばし、インクにつけた。

羊皮紙の上に持っていったところで、ポタ、ポタ、と黒い染みが増えていくだけだ。

ジニーはスネイプ顔負けの皺を眉間に刻み、シェーマスはポカンと口を半開きにして固まっている。

ルーナですら、驚いた顔でユイを見ている。



『これじゃ短すぎるわ』



勇敢にも羊皮紙に文字を書き、ユイの元にもっていったルーナが、だめ出しをされた。



「長さは指定されていないはずだよ」

『あ、しまった。初歩的ミス!えっと、それじゃあ――』

「ちょっと待った!」

「今からの条件追加は無しよ!」



焦ったシェーマスとジニーが急いで羊皮紙に羽ペンを走らせる。

ネビルも染みだらけになった羊皮紙に、“魔法薬学が得意”と書いて持っていった。

ユイはしぶしぶといった表情をしていたが、なんとか受け取ってもらえた。

しかし、帰り際に『次からは2枚にしよ』という独り言が聞こえてきて、4人は身震いした。



***
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ