番外編
□7-* 地獄の罰則
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唯一楽しそうに聞いていたルーナが、途中で手を上げた。
「それはちょっと難しいと思うよ。だって、ダンブルドア軍団の結成は校則やぶりになるもン」
『すぐに見つかるような派手なことをやったり、スネイプ先生に攻撃を仕掛けたりしなければいい、ということよ』
いつの間にかスネイプの真似は終わっていたようだった。
教室もランプが灯って明るくなっている。
すっかり気を抜いたシェーマスが、口を大きく開けて伸びをした。
「何かあっても、ユイが今回みたいに助けてくれるんだろ?」
『なるべくはね。でも目の届く範囲は限られているから、控えてくれると助かるわ』
「親衛隊への攻撃はいいの?」
『怪我をさせなきゃいいけど――捕まったら今日みたいに罰則をしてもらうわよ』
「ユイの罰則なら歓迎だよ。なあネビル」
「えっと……」
なぜかネビルは頷けなかった。
頷いてはいけない気がした。
「ユイの罰則って何?」
「何言ってるんだよネビル、今の説教が罰則に決まって――」
『書き取りよ』
シェーマスの言葉を遮り、ユイがにっこり笑った。
『スネイプ校長の長所の書き取り』
「……え?」
一瞬、シンと静まり返った。
ここに来たとき同様の目配せが、4人の中でゆっくりとなされる。
「はははっ、そりゃいいね、まさに罰則にうってつけ――……マジ?」
『マジよ』
シェーマスが笑い飛ばしているところに羊皮紙が配られ、4人は凍りついた。
どうせ形だけだろうという4人の願いもむなしく、続けてインク瓶と羽ペンが並べられる。
ネビルはほとんど無意識に羽ペンに手を伸ばし、インクにつけた。
羊皮紙の上に持っていったところで、ポタ、ポタ、と黒い染みが増えていくだけだ。
ジニーはスネイプ顔負けの皺を眉間に刻み、シェーマスはポカンと口を半開きにして固まっている。
ルーナですら、驚いた顔でユイを見ている。
『これじゃ短すぎるわ』
勇敢にも羊皮紙に文字を書き、ユイの元にもっていったルーナが、だめ出しをされた。
「長さは指定されていないはずだよ」
『あ、しまった。初歩的ミス!えっと、それじゃあ――』
「ちょっと待った!」
「今からの条件追加は無しよ!」
焦ったシェーマスとジニーが急いで羊皮紙に羽ペンを走らせる。
ネビルも染みだらけになった羊皮紙に、“魔法薬学が得意”と書いて持っていった。
ユイはしぶしぶといった表情をしていたが、なんとか受け取ってもらえた。
しかし、帰り際に『次からは2枚にしよ』という独り言が聞こえてきて、4人は身震いした。
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