番外編

□5-5 [IF]スニーといっしょ!
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床に這いつくばってひれ伏すユイを見下ろしながら、スネイプは考えた。

納得はできないが、嘘をついているとも思えない。

過去を見に行って1ヶ月程度しか経っていない今ならなおさらだ。

記憶の連鎖は、嘘の言い訳に使えるような軽々しいものではないはずだ。

スネイプは努めて冷静になろうとゆっくり息を吐き、ユイの言い分を信じることに決めた。



「君が離さなかっただけだ。我輩が連れてきたわけではない」



重々しい沈黙を破ったスネイプの言葉を聞き、ユイが顔を上げる。

そこには“最終的には抱えて姿くらましをしたじゃないか”と書いてあった。


言葉を発せられる前に、スネイプはユイを抱えた。

部屋の出口に向かっているようだと気づいたユイが、じたばたともがく。



『ごめんなさい!申し訳ありませんでした!なんでもするんで捨てないでくださいー!』

「ではひとまず夕飯を作りたまえ」

『……へ?』



ペイっとキッチンに投げ込むと、ユイは呆けた。



「君が小さくなって遊んでいる間、我輩は何も食べずに待たされていたのだ。自分はもう食べ終えたから他人のものなど作っていられないと言うなら部屋に戻ってかまわないが――」

『作ります作ります!』



大慌てで準備を始めるユイを見ながら、スネイプは鼻を鳴らした。

本当は夕食などどうでもよかった。

ただ、土下座をやめさせる口実が欲しかっただけだ。

理由はどうであれ、あの状況でスネイプについてきたことを評価してやろうと思ったのだが、正直に話せばユイはきっとつけあがる。

それは癪だし、腹の虫が治まらない。

だから代わりに「早くしたまえ」「手際が悪い」と文句を言い続けてやった。



『小さいんだから仕方ないじゃないですかっ』



返事だけを続けていたユイが、イスによじ登る姿を馬鹿にされたところでついに反論してきた。

精神年齢鑑定薬とやらを飲めばいいだけなのに、その考えには至らないようだった。

だからスネイプもあえて指摘しなかった。

ある程度なんでもそつなくこなすユイが単純作業に苦戦している姿が面白い。



「入学時とさほど変わらぬように見えるが?」



これは罰だ。

なんでもすると言ったのはユイだ。

そう言い訳し、スネイプは食事後もあえて小さいとやりづらいであろうことに絞り、あれこれ単純作業を命じた。





Fin.
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