後日談

□12.絵画
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6月が近づくにつれてだんだん蒸し暑くなり、天気がいい日が続くようになった。

魅惑的な青空の下から5年生と7年生が消え、図書館と談話室に留まる生徒が増えてくる。

他学年の生徒たちも試験がないわけではないため、2年分の試験に対応すべく膨大な量の宿題に追われるようになっていた。

唯一1年生だけが気楽だったが、先輩達が必死に勉強をしている横で大々的に遊ぶわけにもいかない。

校庭の隅のほうに座って談笑したり、空き教室でチェスやゴブストーンを宿題の合間に申し訳程度に遊んだりしていた。

そうなってくるとますますユイの仕事はなくなる。

怪しい薬の取引を取り締まったり新しくできたくもの巣を取り除いたりする以外にやることがなくなったユイは、生徒たちに混ざって図書館で過ごすようになった。


もちろんすぐに見つかった。

フィルチによってスネイプに報告されていたことを知らなかったユイは、校長室に来るなりネチネチとした嫌味攻撃を受けるはめになる。



『だって、暇なんですもん』



ユイは子どものような屁理屈を言い、口を尖らせた。

そしてそんな行動に出たことをすぐに後悔した。

スネイプが口元を上げたのだ。

もちろん、目は笑っていない。



「では君も試験を受けたらいかがかねMs.マルフォイ」

『し、試験ってまさかN.E.W.Tじゃないですよね?』

「特例ではあるが我輩が許可しよう。試験結果があればお望み通り暇な日々に終止符を打つことも可能になるであろう」

『申し訳ありませんでした以後気をつけます!』



解雇の2文字がチラついたユイは、即座に頭を下げた。

ハーマイオニー達がまだ学校にいることもあって、どうも学生気分が抜けない。

他人のせいにしていることも含めて、ユイが最も反省すべき点だ。

ユイは改めて気をつけようと思った。



『あ、そうだ』



顔を上げたユイは、本来の目的を思い出した。

このタイミングでは非常に言いづらいが、改めて出直すのも気が引ける。

なんだかんだ文句を言いつつ相手をしてくれているが、スネイプはユイと違って忙しいのだ。

本来なら校長室というものはちょくちょく訪れられるようなものではない。



『ダンブルドアとお話させていただけませんか?』



歴代校長が並ぶ壁の一番新しい額縁を見ながらユイは言った。

ユイの予想通り、スネイプはあまりいい顔をしなかった。

理由を言えとその表情が物語っている。



『肖像画について、聞きたいことがありまして』

「肖像画?」



予想外の返答だったのか、スネイプはユイの言葉を繰り返しながら片眉を上げた。
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