番外編
□4-1 [IF]最悪な誕生日再び
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夏期休暇が始まって1ヶ月ほどたったころ、シリウスから「家に遊びに来ないか」と誘いの手紙が届いた。
(もちろん行くに決まっているよ!)
本音を言えば、“遊びに”ではなく“暮らしに”行きたかったが、それは高望みというものだ。
ハリーにとっては、シリウスの家に行けることは13年分の誕生日プレゼントとしてファイアボルトをもらうよりも嬉しいことだった。
しかも、手紙によると、ハリーの友人達を呼んでハリーの誕生日会を開いてくれるらしい。
「最高!」
ハリーはすぐに手紙を書いた。
バーノンおじさんとペチュニアおばさんにはまだ言っていない。
返事はわかりきっているから、手紙を書く前に確かめる必要はない。
ヘドウィグに手紙を持たせ、ハリーはスキップをしそうな勢いで階段を下りた。
(僕がシリウス・ブラックの家に招待されたってわかったらどんな顔するかな!)
事情が事情なだけに、マグルの世界ではシリウス・ブラックの冤罪事件に関しては報道されていなかった。
真犯人は殺されたと思っていたピーター・ペティグリューで、ネズミの姿になって逃走したなど説明したところで理解を得られるはずもないとの判断だ。
そのせいでシリウスはマグル界では今も殺人犯の汚名をきせられ、魔法省にマグルとの接触を禁じられるはめになった。
それはとても不名誉で納得のいかないことだったが、ダーズリー家がシリウスを凶悪犯だと信じ込んでいるのは、ハリーにとってはある意味都合がよかった。
「“あの”僕の名付け親のシリウスが、僕の誕生日を祝いたいから来てくれって言うんだ。どこに行くか僕以外に知られたら都合が悪いみたいだから場所は言えないけど……行ってもいいよね?」
その時のダーズリー一家の顔はといったらもう!
ハリーは一足早いプレゼントをもらった気分だった。
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