番外編
□4-1 [IF]最悪な誕生日再び
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ロンとハーマイオニーとキングズ・クロス駅で合流し、グリモールド・プレイス12番地へ向かう。
角を曲がると、庭に見知った人物が立っているのが見えた。
「ルーピン先生、お久しぶりです!」
「やあハリー。それにロン、ハーマイオニーも。休暇は楽しんでいるかな?」
「「はい!」」
ロンとハーマイオニーが揃って返事をする中、ハリーは肩をすくめて「去年までよりはだいぶましかな」と苦笑いをした。
「ルーピン先生、わざわざ外で待っていてくださったんですか?」
「ここの入り方は特殊だからね。それに――」
「それに?」
「――まあ、行けばわかるよ」
休暇の報告をしたハリーと同じ表情で返事をするリーマスを見て、3人は顔を見合わせた。
いったい家の中に何があるというのだろう。
ハリーはじわじわと嫌な予感が腹の底から競りあがってくるのを感じた。
そして、その予感は悲しいことに的中する。
どうやらハリーを待っているのは、人生初めての楽しい誕生日パーティではなさそうだった。
「あの声、まさか……スネイプ先生?」
「なんでスネイプがここにいるんだよ」
ハーマイオニーとロンが、驚きのあまり声が出ないハリーの言葉を代弁してくれた。
奥の部屋から聞こえてくるねっとりした嫌味な声は、紛れもなくハリーがホグワーツでもっとも嫌っている人物の声だった。
「まあ、いろいろとあってね」
何がどういろいろあれば、スネイプがハリーの誕生日を祝いにやってくるか、詳しく教えて欲しい。
スネイプはホグワーツ生の誰よりもハリーを嫌っている。
そしておそらく、同窓生の中で1番シリウスを憎んでいる。
去年シリウスに対峙したときのスネイプの目は、憎しみを通り越して狂気を帯びていた。
(顔も見たくないはずだろ?)
そんなに憎む相手の家に、スネイプが来る理由など存在するのだろうか。
答えはすぐに出た。
声が聞こえたリビングから、ひょこっと黒髪の少女が顔を覗かせ、ハリー達に手を振った。