アズカバンの囚人

□27.一夜明けて
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『ねえ、ルーピン先生は?』

「ユイってばさっきからずっとそればっかりだね。ルーピンならみんなが出て行った後に君を抱えてここへ来たよ。すっごいボロボロの格好でさ……そりゃそうだよね。変身するときに服が破れちゃってたんだからさ。君もだいぶボロボロだったけど……ああ、でもかまれてはいないから安心して」

『……そっか』



かまれていないということはわかっていたが、それでもあの場で意識を手放してしまったことに対して後悔していたユイは、ロンの話を聞いて考え方が変わった。


(服のこと忘れてたわ……)


変身が解けた後のことまでユイは考えていなかった。

あのまま一緒にいたら、日の出とともに全裸のリーマスを膝の上から見上げる羽目になっていただろう。

もしそうなっていたら、気まずすぎて顔を合わせられない。


(ローブくらい掛けておいてあげればよかった)


切り裂いてしまったため、さほど意味をなさないだろうが、それでもないよりはましだ。



『あれ?そういえば私が運ばれてきたとき、この格好だった?』

「ううん。制服だったよ。マダムが着替えさせたんじゃない?」

『あー……うん』


(アニメーガスになっていたはずなんだけどな……)


『で?ルーピン先生はどこに?』

「ルーピン先生はあなたを私に任せて、すぐに出て行きましたよ」

『なんで?まさか――』

「校長先生のところに行くとおっしゃっていました」

『自分を責めていませんでした!?』

「それは……」



言いよどむのを見て、ユイはベッドから飛び出た。

このまま、リーマスが辞任を言い出しそうな気がしてならなかった。



「どこへ行くつもりですか!退院の許可を出した覚えはありませんよ!」

『シリウスとルーピン先生を助けなきゃ!』



声を大にするユイに、マダム・ポンフリーは呆れた顔でため息をついた。



「わかりました。行くことを許します。また窓を壊され、さらに重症になって戻ってこられては困りますからね……」

『ありがとうございます!』

「用が済んだら戻ってくるのですよ」

「待って!僕も行く!」

「あなたはダメです!」

『ロン、もしすれ違いでみんなが帰ってきたら、私は無事だと伝えて』



マダムにお礼を言い、ロンを置き去りにし、ユイは校長室へ向かって走った。




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