アズカバンの囚人

□06.魔法生物飼育学
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「ウォッホン」



ハグリッドが咳払いをし、生徒達の注目を引き、効果音つきでヒッポグリフを紹介する。



「どうだみんな、美しかろう」

『わあ……』



馬の体に鳥のような顔と羽を持つ灰色の大きな生物の登場に、生徒達の顔に影がさす。



「イッチ番先に言うておくが、こいつらは気位が高い。すぐ怒るからな。侮辱しちゃなんねえ」

『だってドラコ。聞いてた?』



ハグリッドの話を聞かずにクラッブとゴイルとひそひそ話をしているドラコのローブの袖を引く。



『気位が高くて怒りやすいってドラコに似てるわね』

「僕を侮辱する気か?」

『褒めてるのに……ほら、毛並みがきれいなところも似てる』

「……羽毛と髪の毛を一緒にするな」



“きれい”という言葉に反応したドラコが照れ隠しのようにそっぽを向くと、まわりから歓声と拍手がおこった。

いつの間にかハリーがヒッポグリフを手慣づけるのに成功したらしい。


(うわ出遅れた!乗ってみたかったのに……)


生徒達を押しのけて最前列に出るドラコに続いて様子を見に行くと、ハリーは既にバックビークの背中にいた。

ハグリッドに叩かれ、バックビークは駆け出し、空高く舞い上がった。



『いいなあ……』



聖獣にのって空を駆ける様は絵になっていた。

まさにファンタジーのヒーローだ。

『かっこいいー』と感嘆の声をあげるユイの横で、ドラコは面白くなさそうに見ていた



「やってられないね……」



ハリーが戻ってきた途端、ドラコは舌打ちをした。


(うぇ、やっぱりダメか!?)


いちゃもんをつけようと前に出ようとするドラコを止めるべくユイは1歩前に出たが、ユイと目が合ったドラコはその場で踏みとどまり、代わりに思いがけないところから声が上がった。



「何よ、ちっとも怖くなんてないじゃない」

『え、ちょ、パンジー!?』



ユイを押しのけて前へ出たパンジーは、ユイの静止も聞かずスタスタとバックビークに向かって歩いく。

焦ったユイは荷物を投げ出してパンジーに駆け寄った。

パンジーの手をつかむ頃にはバックビークの目の前まできていた。

急いで手を引っ張ったが、パンジーはよろけながらもバックビークに向かって「醜いでかぶつの野獣さん」と鼻をならした。



『ああもうっ(セリフまで同じかい!)』

「「「危ない!」」」



パンジーを庇うように抱きついたユイは目の前にバックビークの巨体が広がるのを見て閉じた。

叫び声と悲鳴が交錯する中、ユイは全身への衝撃と二の腕に鈍い痛みを感じパンジーと一緒に地面に倒れた。
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