秘密の部屋
□13.試合後の出来事
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スネイプに引きずられスリザリン陣営へ戻る途中で、スリザリン陣営からフリントの怒鳴り声が聞こえた。
「いったい何をしていたんだ!」
フリントは、スニッチが頭の上にあるのに気がつかなかったドラコを責めていた。
他のチームメイトも、圧勝するはずだったのにと口々に文句を言っている。
「それでもシーカーか!?まだポッターのほうがマシだな!」
『ちょっと!何もハリーと比べることないでしょ?ドラコはドラコなりに頑張ったんですよ!』
「頑張った?スニッチじゃなくポッターを追い掛け回すのをか?」
『そりゃハリーに夢中なドラコが悪かったですよ。でも、そこまで言うことないじゃないですか。教授もそう思いますよね?っていないし!』
まわりには、大きなフリントに食って掛かる小さなユイを面白がって見に来た野次馬が増えていたが、つい先ほどまでユイの首根っこをつかんでいたスネイプはいなくなっていた。
競技場の出口でルシウスと話している姿が見える。
(もうっ、この状況なんとかしたいのに!)
地面に倒れたままうなだれるドラコを連れ出そうとユイは手を貸すが、ドラコはその手をとろうとしなかった。
(女の子に助けられたくはないか……)
ユイはそっとクラッブとゴイルを手招きした。
すると、ユイの言いたいことが奇跡的に通じ、2人はドラコに駆け寄り「ポッターむかつくな」「医務室いってもう1本の腕も折ってやろうぜ」と両脇から抱え起こした。
ドラコが2人に連れられていったのを確認したあと、ユイはフリントへ向き直った。
『ドラコは選手になるために珍しく本気で努力したんです。1回失敗したからって、あんな全否定するような――馬鹿にするようなことを言わないでください』
(珍しくって……)
野次馬たちは、ドラコを追って医務室に走って行くユイの後姿を見て同じ事を思った。
(それは馬鹿にしたうちに入らないのか?)
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