秘密の部屋

□13.試合後の出来事
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ユイが医務室につくと、ハリーの見舞いに集まった人たちがマダム・ポンフリーによって追い出されるところだった。

ユイもその波に巻き込まれ外に出されてしまう。

再び謝るタイミングを逃してしまったユイは、仕方なく医務室の外で待つことにした。

すると、ほどなくして「どこも怪我していないから問題ない」とドラコも叩き出されてきた。

一緒に入っていたはずの2人の姿はなかった。



『あれ、クラッブとゴイルは?』

「大広間だ」



ここにドラコを連れてきてすぐにお腹がすいたと言って出て行ったらしい。

薄情なやつらだなと思ったが、あの気まずい場所からドラコを連れ出してくれただけでも十分ありがたかった。


(さて、あとはどうやって時間つぶそうかしら)


一応釘は刺してきたが、いま寮に戻ったらきっと冷たい視線が待っているだろう。

無駄に気まずい思いをさせる必要はないと、ユイはドラコを展望台に誘った。



「あそこは授業以外で使用禁止のはずだろう」

『ばれなきゃ大丈夫よ』

「……」

『私さっき試合終了後にグリフィンドールのほうに行っちゃったから、寮に戻りづらいのよね』



怒らたら私のせいにしていいからと言うユイに、ドラコは素直に従った。

寮に戻りづらいのはドラコも一緒だった。







展望台に忍び込み、2人は望遠鏡を背にお互い別の方向を向いて座った。

何をするでもなくただ時間が過ぎていく。

ぼーっと空を流れる雲を見ていると、ドラコが「気を使わなくていい」と呟いた。



「ユイも僕のせいで負けたと思ってるんだろ」

『そうね。思ってないと言えば嘘になるわ』



ユイが静かに答えると、背中越しに震えているのが伝わってきた。



「父上も、きっと飽きれたに違いない。勉強でマグルのグレンジャーに勝てないばかりか、クィディッチでポッターにすら勝てない僕を、――」



スンと鼻を鳴らす音が聞こえてくる。

偉そうに振舞っていても、まだ12歳の少年なのだ。

負けたら悔しいし、怒られたらつらい。

強がってるドラコの素直な一面を垣間見れた気がしてユイは顔が緩むのを感じた。



『今回スリザリンが負けたのは、ドラコがハリーにちょっかい出すのに夢中で、試合に集中していなかったからよ』

「……」

『わかる?ドラコが下手だとか、シーカーに向いてないとか言ってるんじゃないのよ。……まあ、1年多くやっている分ハリーのほうが経験豊富なのは認めざるを得ないけど』



ドラコを慰める日がくるとは来るとは思わなかった。

プライドが高いドラコにどう言葉をかけるべきか悩んだが、当たり障りのないことを言っても仕方がないと、思ったことをそのままぶつけることにする。



『ドラコだってハリーに負けないくらい努力したんだから胸を張りなさいよ。いつもみたいに、偉そうにしてればいいのよ』

「……僕にケンカ売ってるのか?」

『そんなことないわ。感心してるの。悔しがるって事は、それだけ本気だったってことでしょ。ドラコのこと見直した』
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