秘密の部屋
□12.狂ったブラッジャー
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「何をしている」
『何ってハリーの骨を守るために……って、スネイプ教授!?』
(いつの間にここに!!)
ユイの時と同じように、誰も気づかないうちにその場に加わっていた人物は、腕を組んで眉間に皺をよせユイを見下ろしていた。
スリザリン寮監の登場に、ハリーを囲んでいたグリフィンドール生の輪がさっと1mほど後退する。
「たった今試合に負けたばかりだというのに、グリフィンドールの輪に混ざるとは、よほど我が寮がお嫌いなようですな?」
『い、いいえっ!私は教授……の寮、スリザリンが大好きです!』
「そうか。ならばここに用はないはずだ。戻るぞ」
『え、ちょ、まだハリーの腕がっ』
スネイプは問答無用でユイの首根っこをつかみ、グリフィンドールの輪から引きずり出した。
(やっと普段のユイに戻った……)
スネイプに連れられていくユイを哀れみながらも、一同はほっと胸をなでおろす。
その一息をどう勘違いしたのか、ロックハートは「そう、彼女には悪いですが、これで一安心です」と張り切って腕まくりをした。
「さあ、みんな下がって」
『あ、ダメ!医務室に連れてくべきですってば!…………あぁー』
遠くからのユイの叫びもむなしく、ロックハートが振り回した杖によって、ハリーの腕は見るも無残なゴム手袋に変わってしまった。
人垣が息をのみ、乾いた笑いをしているロックハートの姿がだんだんと遠ざかる。
(ごめんハリー!)
あとでお見舞いに行ったときに謝ろうと、ユイはスネイプに引きずられながら心の中でハリーに詫びた。
→13.試合後の出来事