賢者の石
□13.二つの特訓
1ページ/5ページ
箒に乗る練習と平行して、スネイプによる防御呪文の練習が開始された。
場所は、授業が終わると誰もよりつかないため、という理由で選ばれた地下牢教室。
こまごまとしたものが多いため、壊したら大変なんじゃないかとユイは必要の部屋を提案したが、スネイプはそんな危険なことはしないしわざわざ移動するのが面倒だと言って場所は変えなかった。
誰もいない教室の後ろにユイを立たせると、スネイプは腕を組みながら前のほうへ歩いていった。
「自分からせがむくらいだ。当然呪文は覚えてきているだろうな?」
『ばっちりです。“プロテゴ”ですよね?』
「さよう。では、一度やって見せるから何か魔法を……いや、そこの瓶を投げてみたまえ」
スネイプは近くにあった小瓶を杖で指す。
小瓶、といっても握りこぶしくらいの大きさがあるそれはガラス製で、あたったら痛いだけでは済まなさそうだ。
手に取り、スネイプのほうを見るとユイの心配が分かったのか「我輩が失敗するとでも思うのか」と鼻で笑った。
『では、遠慮なく……』
ユイが思い切って投げつけると、小瓶は杖を一振りしたスネイプによって1mほど手前で粉々に割られ、破片が床に散らばった。
『すごい!』
「次は君の番だMs.モチヅキ」
歓声をあげるユイに、スネイプは顔色ひとつ変えず、やってみろと言い放った。