アズカバンの囚人

□27.一夜明けて
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気がついたときは、病室のベッドの上だった。

外はもう明るい。

朝まで一緒にいると宣言したくせに、どうやら寝てしまっていたらしい。


(リーマス……?)


ユイが医務室にいるということは、おそらく彼がここまで運んできたのだろう。



『あの、ルーピン先生は……みんなは?』



目に入ったマダム・ポンフリーの後姿に向かって問いかける。

起き上がって見渡した医務室の中には、校医とユイとロンの3人しかいなかった。



「気がついたのね。まったくあなたときたら、窓を割って出て行ったかと思えば傷だらけになって帰ってきて……」

『他のみんなは、どこですか?』

「……事情聴取中です」



ユイに小言を並べていたマダム・ポンフリーは、まったくけしからんと憤慨した。



「朝一で魔法省からお役人が来て、全員連れていきました。まだ治療が終わっていなかったのに、ですよ!?校長先生も校長先生です。やすやすと許してしまうだなんて!みんなここを、私の患者をなんだと思っているんでしょうね!」

「今朝からずっとこうなんだ……」



まいっちゃうよ、とロンが苦笑いをする。

ロンは歩けないため後回しにされたのだと言う。

1人だけ仲間はずれをくらって拗ねているようにも見えた。



『魔法省の役人って……』

「シリウス・ブラックの件さ」



ロンは、マダムの小言を聞く以外のことができるようになったことがうれしいのか、洪水のように次から次へと言葉を発した。



「君たちがルーピンとブラックを追いかけていったあと、僕らもすぐに後を追ったんだ。僕は歩けなかったから、スネイプに運ばれて……運ばれるって言ってもおんぶとかじゃなくて、担架に乗せられて……担架はスネイプが魔法で出したんだけど」

『追いかけて、それで?』



話の論点がずれかけたのをユイが戻す。



『ハリーとシリウスには会えたの?ディメンターが空を飛んでいくのが見えたんだけど、みんな無事だったの?』

「うん。何百って数のディメンターが襲ってきて、もうダメかと思ったんだけど、退治したんだ――ああ、うん。やったのはハリーだよ」

『たった1人で?あんなに多くのディメンターを?』

「そうなんだ。すごかったよ!一面に銀色の光が広がってさ!ぶわーーって!それで、ディメンターはみーんな一目散に逃げ出したんだ」



ロンは興奮してついつい大きな声を出してしまい、マダム・ポンフリーに睨まれた。
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