青春応援歌〜オルタナティブエンズ〜
□12球目
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昨日のデートから一夜明け、今日は日本代表選抜メンバー内で練習試合。
つまりは少人数での紅白戦。
選手たちはばらけるように同ポジション同士でくじ引きを引く。
選手の長所と短所を見るには良い機会だと思い、持参したノートを広げたその時、
「高嶺、話がある。少しいいか?」
ふいに久遠監督に呼ばれる。
『監督、何でしょう?』
その監督からの話に検討もつかなかったので、少しだけ恐る恐る訊ねる。
「これから始める紅白戦だが…高嶺。どちらかのチームの監督をやってみないか?」
『えっ!?はっ…はい!?』
突然の提案に驚きを隠せない。
「この前のネオジャパンとの試合以来、高嶺には優れた知能と洞察力があるのではないかと思ってな。是非ともこの機会に試してみたい。」
『…いやいや監督!!あたしなんかサッカーのルール知ってるくらいですし、そんな専門的なコトは素人同然ですよ!!』
専門的な陣形等を独学で本読んだりして少しかじっているくらいで、ほとんどはわからない。
なのに何で久遠監督はあたしを…?
「そんなものは要らない。高嶺の思ったようにプレーヤーを指揮すればいい。世界でのジャパンチームの勝利に導きたいのなら、お前の潜在能力を引き出せるのは今のうちだ。…どうする?」
あ…瞳子監督も言ってた、"あたしの潜在能力"。
これが、チームの訳に立つかもしれないってコト…?
…チームの勝利の確率を1%でも上げられる可能性があるなら答えは早い。
『…監督、是非やらせてください。』
「…よし。選手は全員集まれ!!これから紅白戦を始めるが、紅チームの監督を高嶺に務めてもらい、白チームの監督は私が務める。しっかり指示をきくように!!」
選手たちはこの紅白戦だけとは言え、あたしの監督就任に一同驚くがすぐに真剣な目差しを向け、
「「「「「…ハイッ!!!!!!!」」」」」
とキレのある返事をする。
それと同時にあたしの緊張の糸が張りつめる。
深呼吸をひとつしてグラウンドを見据える。
これからどんな試合になるのか全く予想できない。
しかし、あたしはイナズマジャパンの世界への舞台の為に全力を尽くすのみ。
ホイッスルの音が空に響く。
さあ、いよいよキックオフです。