青春応援歌〜オルタナティブエンズ〜
□8球目
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無事に対ネオジャパン戦での勝利をおさめ、その日の夕食の時間の終わりに久遠監督が明日の予定を発表する。
どうやら、明日は個人練習らしく、今日の試合の休養をとっても良いし、勿論各自練習も行って良いとのこと。
まあ、彼らのことだからサッカーしない日はないだろうな…なんて思い、食器の片付けをしようと立ち上がると、後ろから軽く肩を叩かれる。
振り向くと、そこにいたのは士郎くん。
いつもながらの優しい微笑みを見せる。
『どしたの、士郎くん?』
そう問うと、彼はニッコリして
「花ちゃん、明日の午後、空いてないかな?」
と聞いていた。
あたしは明日は特にすることもなかったので、
『特に何もないよ!!』
と返すと、彼は満面の笑顔で
「じゃあさ、ボクにちょっとだけ付き合ってくれないかなっ?」
と言う。それに対し、
『大丈夫だけど、どっか行きたいとこでもあるの?』
と聞けば
「うん。ちょっとね!!」
と彼は言う。
あたしは、何気なしに了承し、明日の集合時間や集合場所等を決め、
「じゃ、また明日ね、花ちゃん♪」
と、彼は大層嬉しそうにニコニコしながら途中、部屋に戻る様子であろう守に絡んで一緒に二階の部屋へと戻っていった。
「花ちゃん。」
そこへ、秋ちゃんが話し掛けてきた。
『なあに?秋ちゃん。』
「吹雪くん、あんなに嬉しそうにしてたけど、何を話してたの?」
可愛らしく尋ねてくる。
『んと、明日の午後にね、士郎くんに誘われて一緒に出掛けることになったの。』
と、ことのあらましを教える。
すると、秋ちゃんは顔を少し赤くして
「…それって明らかにデートのお誘いだよね?」
と言う。
あたしは特にそんな意識はしていなかったので、
『これは、で…デートなのかな…?』
と片言気味に言うと、
「デートに決まってるよ!!男の子の方からお誘いするなんて余程のことがない限りないものっ!!」
と秋ちゃんは身を乗り出して言った。
その後、夕食の片付けやお風呂を済ませ、暫く自室でプレーヤーのデータや他国のプレーデータを纏めているとだんだんと眠気を感じ、布団に入る。
『デート…ねぇ…。』
夕食の時間終わりに秋ちゃんに言われたことを思い返す。
デート…?単にサッカー用品とかの買い物の付き添いってこともあるだろうし…いや、だったら守たちを誘うはず…
なんてぐるぐると考えが巡り、ちょっとだけ明日のことを意識し始めてしまう。
『もーっ、なるようになれっ!!』
と心の中で小さく叫びながら眠りについた。