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□水龍退治
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「…団長がそこまでおっしゃるのなら…。」
言いながら騎士、カウディは私の手を離した。
一瞬恨めしそうにレオを見たが、レオはと言えばふふんと勝ち誇った様な笑みを見せていた。
…うーん、全く解らんな、男の世界…。
「…で、誰なんだあんたたちは…。」
「あー、初めまして団長さん。実は水龍退治って聞いて、ちょっと…いやかなり興味をもったので、私も連れて行ってほしいなー…なんて。」
「ならん」
…あー、やっぱり。頭固そうだと思ってはいたけども…素姓の明かさん奴らなんてまあ…普通連れて行かんわな。
「…と…言いたいところだが、あんたは中々名の知れた魔導師とお見受けした。」
彼の声に、カウディは目を点にしながら口をあんぐりと開けていた。
…おー、間抜け面…。
「あなたがあの、フローライト=クラワルドだろう?」
「…あー、はい。まあ。」
「…へ?あなたがあの伝説の魔導師の…?
でもさっきルーナって…?へ?」
「…はあ。なんだカウディ…それくらい見破れよ。」
「や、見破られても困るんですけどね。」
私は軽く手を振って見せる。
「…あんたが興味を持つなんて珍しいこともあるんだな。」
「…私の友達に水龍がいるんですよねー、ちょうどここに用もあったから立ち寄ったんです。この水面の洞窟に。」
笑って洞窟を指差す。
「だから、無理矢理にでも付いて行こうって思ってたんですけど…」
「着いてきたいと言うのなら、一緒に来ても構わない。だが、暴れるのだけは勘弁してくれないだろうか?」
「はい、いいですよ。」
私は団長の言葉に素直に頷いた。
「レオ、ちょっと先に話しとくね。」
「話すって…なにをだ?」
「決まってるじゃん!水龍のコトだよ!」
私はレオに"こっちゃこい"の合図をした。
周りのみんなはハテナを浮かべているけども…
「いーい?レオ、これから会う水龍なんだけど、人間に化ける事が出来るの。暴れてる…って事だから、なにか水龍の気に障るようなコトをこのコローネの街人さん達がしちゃったんだろうけど…。」
「…解った。判別の仕方は?」
「話が早いわね。じゃあ言うわよ、よく聞いて。」
ニヤリ。私はレオに耳打ちした。