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□宝の地図
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「港町コローネ到着!」
「…ここにも、領主がいるのか?案外どこにでもいるんだな、領主。」
「あー、いないいない!ここには、この地図を元に宝物を探しに来ただけ!」
「宝物?」
そう!宝物!!つい三週間前に、レオと会ったナタカーシュの森にいた山賊からぶんとっ…や、頂いたお宝っぽい中にあった宝の地図…。
シークレット・ソードに続くなんかの紙切れだと思ったけど、探して見る価値はあるよね!
「オイ、顔が歪んでるぞ。」
「失礼な!歪んでるんじゃなくて、笑ってるの!…ホラ、レオも笑う!その仏頂面を元に戻した上微笑め!」
「イテテテ…」
レオの左頬を持ち上げて、無理やり笑わすと、周りの兄ちゃん姉ちゃんおっちゃんばーちゃんがやたらと振り返って来た。
っかしーな、笑うとちょっと可愛いのに。
「…ふ、ふほー、ほろほろはなへ…」
「…ん。わりわり。」
ぺっ。手を放すと、ちょっぴり赤くなった頬を右手でさするレオ。
…恨めしそうに見ているのは、あえて知らないフリ。
「イテテテ、おもいっきり引っ張るなよ。」
「怒らない怒らない!さ、さっさと水面の洞窟にレッツゴー!」
…私のテンションとは打って変わって、レオはため息をつきながら私の後に続いた。
トリーニシティから約十日。(私は)いつも通りに魔物と戦ったり、ちょーっと盗賊を懲らしめたり…し、な、が、ら!
ここ、コローネまで十日間もかけて歩いて来た。
馬車でもよかったんだけど、馬と馬が合わんくて…や、ギャグじゃない。
本当なんだって!私が乗ったらどんな馬でも暴れ馬に早変わり!
…気ィつけた方がいいよ〜。
と、言う訳でコローネまでは歩きで来たって訳なのです〜。
「と、言う訳で早速迷子!」
「明るく言うな。」
「アウチッ!」
べちっ。レオは無表情のまま、私の頭を叩いた。
「…叩く事ないじゃーん。」
「それくらいですねないでくれ。」
「ちぇー、なんだいなんだい!私は会えて場を盛り上げようとしてるだけなのにー。レオが寂しいと思って、あえて場を盛り上げようとしてるだけなのにさーあ。」
ぐちぐち。いじいじ。
私は、近くの岩場に見を屈め、ぐちぐちいじいじと口で言ってみた。
…レオの反応は…?
ちろっ。
「いじけるな。俺は寂しくなんてないぞ、フローがいるからな。」
「……あ、そう……。」
「なんなんだ、その反応は。」
…や、びっくりだ。あんな真顔で言われるなんて思ってなかったわー。
てぇっきり取り乱して「さ、寂しくなんてある訳ないだろう!!」とか言うと思ったのに…。
なんかこっちが恥ずかしいわ!!
「フロー?」
「あー!ないない!大丈夫!生きてる、私は生きてるよォ〜っ!!」
「ならいいんだが…それよりあれじゃないのか?お前さんがさっき言ってた見なもの洞窟…。」
「へっ?どれど…れ?」
くるっ。…ピタッ、…じーっ。
「…賑わって…る?」
「みたいだな。」
私の問い…と言うか呟きに、レオは淡々と答えた。
私の目と鼻の先にあるのは、おっきい看板がぶら下がってる洞窟。
洞窟に看板がぶら下がってんのにもちょっと疑問だらけの光景だが、それより驚くのはその人の数!!
100や200じゃ片づけられないほどなんですけど!!
…ともあれ、こりゃ人に聞くのが解りやすい!
「ねー、おじちゃん。ここで一体何が始まるの?」
「んん?じょーちゃん見ねー顔だな…まあいいや。
なんでも今から、どっかの騎士様達が水龍退治に出かけるんだってよ!」
「でぇえっ!?水龍を!?なんで…」
「水龍が海で暴れているからですよ、お嬢さん。」
私の声に答えたのは、レオでもおじちゃんでもなかった。
見るからにどっかでっかい国の領主に仕えているだろうその騎士は私の目を見てそう言ったのだ。