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□また来たぞ敵
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「…一体全体、どう言う事なのさ〜。」
「まあ、そうぶつぶつ言うな、仕方ないだろう?ここを通っているんだから…。」
「…でもぉ…」
私はレオになだめられながら、すごすごとナタカーシュの森を進んで行く。
…ナタカーシュの森に入って三日、ようやく三日である。何事もなく進むと思っていたトリーニシティまでの道のり…長い!長過ぎる!!
私だってここまでくるのに約五日はかかったわけだけど、本当はもっと早く着いて良いんじゃないかな!?ってか着けよ!!
「…それもこれも、ぜーんぶ魔物達のせいだーーーっ!!」
「あ、バカ…そんな大声出したら…!」
がさがさがさっ!!
「…言わんこっちゃない…」
レオは、何度目かのため息をつくのだった。
そう、あれから三日…毎日毎日魔物魔物魔物魔物…多分二時間おきに魔物が現れてはやっつけて、現れてはやっつけての繰り返し!!
…これには、さすがの私も正直だるくなって来た〜♪
もうさ、いっその事強力な火炎系魔法でさ、ナタカーシュの森をまるごと焼いちゃえば良いんじゃないかと思うようになって来ちゃったナ〜☆
「…とか言ってる間にぃ〜、来たし!!
蔦の鉈(リィーヴィー・ダム)!!」
ずどどどどどっ!!
すんごい音を立てて、約二十匹はいたゴブリンを、私は片づけた。
「…お前さん、段々と手加減抜いて来てないか…」
「……当たり前よ、面倒だから、一発で片付ける為よ…」
「なるほどな。」
彼はため息を着くと、なにやらカバンの中を探っているようだ。
「レオ、なにしてるの?」
「…精霊の力を借りる。ちょっと待っててくれないか?」
言って、その場に腰を下ろした。
「…風の精霊王、フォンよ、我が意思に答えよ…」
「(フォン!?精霊王フォン=ルー!?)」
「…我が意思に答え、風よ我の元へ集え。」
かざしている右手に、薄緑色の具現化した風が現れる。
私は呆気に取られながら、レオを見ていた。
「…レオ、あんた…精霊魔法使えるんだ…」
「…ああ、古き師、アダンに教わった…」
悲しそうに、俯いたと思ったら、ばっと顔を上げて、私の手を引いた。
「なに?」
「これは、風の結界だ。ある程度の魔物の攻撃になら耐える事ができる。
…これなら、あんたも怪我なんぞせずに、街にたどり着けるだろう。」
「…そっか、ありがとう!心配かけちゃって、ごめんね!」
私がそう言うと、レオは「いや、」と言って、私の左側に回り込んで、回復呪文を唱え始めた。
その間に私は、風の加護(ウィン・ヴェール)を唱え、ふよふよと風の結界を宙に浮かべた。
「…なんで私が怪我しちゃったって気付いたの?」
「…少しだけ、動きが鈍くなったから…」
「それだけで!?」
おおっとびっくり!レオってばかなりいい目を持っていたみたいだねっ!
「…いちち…」
「…我慢しろ。」
そして、私達はふよふよと浮かびながらナタカーシュの森を後にした。