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□その前に敵
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「では、早速薬とやらを渡してもらおうかのぅ?」
ジジイはニヤリと笑い、足を組みながら私と彼を交互に見た。
「…して、そこの男の話は聞かんかったが…主のこれかの?」
「いやいや、腐れ縁だって。そんなことよりこれがカムチャッカ様から預かった薬ね。」
言いながら私は鞄からおもーいおもーい袋を目の前のテーブルに出した。
彼はそれを不思議そうに見つめている。
「よし…確かに。」
ジジイは袋を開け、中の粉みたいな…と言うか粉を眺めながら頷いた。
「でさ、ちょーっと聞いておきたい事があるんだけどね?」
「なんじゃ?」
ジジイは不思議そうに私の顔を見た。…まあ、聞きたいことなんて決まっているのだけどねっ!
「シークレット・ソード。」
「!!」
その名を出した瞬間に、ジジイの顔色は変った。
「私それを探してるんだけど…なにか知らない?」
「…さあ…特には…」
「ふふふっ、隠さなくたっていいんだって!だってシークレット・ソードの噂が立ってる発信源のこの街…ラグーンで…しかもその村長が知んない訳がないもんね?」
私が村長に笑いかけると、ジジイは乾いた笑いを浮かべた。
「すまないご老人、その噂が立っているシークレット・ソード。
実は古き俺の持ち物でして…。」
彼は比較的落ち着いた様子でジジイに話しかけた。
…それから話す事約五時間、いやー、ジジイは話が長い話が長い…。
…そんな二人の話を聞くには聞いたが…、シークレット・ソードだけに、隠されている事が多い多い…。
と言うかその前に、私にはあんまり良く解んないけど…さ、
「ではご老体、貴重なお話、ありがとうございました。」
「じゃあね、ジジイ!私はカムチャッカにあって、報酬を頂いて来るとするよ!」
「あぁ、そう言えばあんたは…王室御用達の魔導師様じゃったな。名は…確か…ふ…ふ…?」
「フローよフロー!フローライト=クラワルド!!
…世界的魔導師とか王室御用達とか知ってるんなら、私の名前も覚えてて欲しいもんだけどね!!」
ついと向こうを向いて、私はガタリと席を立つと扉に向かって真っすぐ歩みを続けた。
「ちょっと、行くわよ!」
「あ、あぁ…。」
彼も、ジジイに頭を下げながら扉をくぐった。