赤の祓魔師

□赤の祓魔師・7
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―虚無界―






大きな岩の上に座って混沌とした空を見つめるアマイモン



大きくため息をつく












そこに揺ってきたのはアマイモンよりわずかに背の高い、燃えるような赤毛をした青年



に見えるが実は悪魔


















「どうしたぁアマイモン?お前らしくもねぇじゃねーか考え込むなんて」







アマイモンに話しかける赤毛




「……イブ…兄様」




"イブ"と呼ばれた赤毛はアマイモンの隣に腰を下ろす



「ずいぶんシケたツラじゃねぇか!なんだったら悩み聞いてやってもいいぜ?」


「………よくわからないんです」


「何が?」


「ノアに対する自分の気持ちが」


「ノア?誰だそれ?あ、もしかしてお前のコレか?」



ピンッと小指を立てるイブ





「なんですかそれ?」


抑揚のない声で問うアマイモン


「なんでぇお前物質界行ってたんじゃねーのぉ?これ通じねぇのかよ」


「すいません………」


「いーよいーよ。別に覚えなくても死にゃしねぇ」


「で、それはいったい何なのですか?」


と、アマイモンはイブのピンと立った小指を見つめる


「ああ、こりゃ女のことだ」


「女………ノア………」


「お前の女か?」


「いいえ、多分違います。……でも自分のものにしたいです」


「じゃあ愛してるんだ」


「………アイシテル?」


「そのノアちゃんってこのこと好きってことだろ?」


「よくわかりません………スキ…とか、アイシテル…とか………」


「あ〜…なんて言うか……ほら!ずっと一緒にいたい!!とか、抱きしめたい!!とか、そう言う感情を"アイシテル"っていうんだよ!!」


「そうなんですか?」


「俺もよくわからないけど…きっとそんなもんだと思うよ?」


「………僕は……ノアを……好き?」


「お前がそう思うんならそうなんじゃねーの?」


「…………でもわからない……」


「??」


「ノアはたまにノアじゃなくなるんです」


「どういう意味だ?」


小首をかしげるイブ


「ノアの中に別の誰かがいるような気がするんです……うまく説明できないけど…」


「別の誰か?」


「はい。誰かがいるような気がするんです……というか一度出てきたんです……ノアの体を借りて……アザゼルを殺したんです」


「アザゼル?!」


「正確にはアザゼルが憑依した人間を、です。アザゼル自身もノアを狙っていて、どうも憑依したいとかではなく、ただ殺したいだけのようなんですが。僕はそれで兄上の結界の中に入ってきたアザゼルを止めようとしたんです…そこにノアが来て……」


「アザゼルの憑依した人間を殺した?」


「はい………そのあと、僕達の方を向いてほほ笑んで……意識を失いました」


「…………」


「ノアならあんなふうに笑うはずがない。人を倒すことはできても人を殺すことはできないはずです………ノアはちょっとガサツで口も悪いけど…優しい子です」


「そうか………俺はその子をみてないからよくわからんけど……」


「でもノアは不思議なんです……僕でも倒せない」


「へ?」


「ノアとよく手合わせするんです。僕は素手で、ノアは剣で。もっとも、僕はノアを傷つけたくはないので手を抜いてるんですが、ノアも手を抜いているみたいで……余裕で僕の攻撃をかわすんです。それで一度本気で殴りかかりました………それさえも片手で止められました」


「重力を操るお前の攻撃を……そいつほんとに人間か?!」


「兄上が言うには半魔だそうです」


「いや…半魔でもなんでも八候王のお前の攻撃を受け止めるなんておかしいだろ!!ぜったいそいつ何かあるって!!」


「何かってなんですか?」


「わからねぇ……けど………」
















しばしの沈黙













それを破ったのはイブ


















「よし!!じゃあ、俺も物質界行く!!」
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