ネタ帳

□ツナ闇落ち
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「ただいま戻りました。白蘭様」
「おかえり〜」

声変わりがまだで幼さの残る容姿を持つ少年が入った部屋は白で埋め尽くされ、その中で待っていた青年も白い髪に白い服を着て白で覆われていた。

そんな青年は愉快そうに笑みを浮かべマシュマロを食べながら少年を迎えた。

「例の街からまだだった税を受け取ってきました」
「ご苦労様。ごめんね。こんな事押し付けちゃって〜」
「いえ、白蘭様の力になれるなら俺はどんな雑務もこなします!」
「うん。ありがとう。キミの働きには感謝するよ」
「い、いえそんな」

白蘭と呼ばれた青年の言葉に少年は嬉しそうにはにかみながら照れる。

そんな少年に白蘭はまた笑みを浮かべ少年の元により頭を撫でた。

「今日はもう休んでいいよ」
「いえ! まだ何かさせてください。俺、白蘭様の力になりたいんです!」
「それは嬉しいけど倒れちゃったらダメだからねぇ」
「そ、そうですよね……」

少年は白蘭の言葉にしゅんと落ち込むが白蘭はそんな少年に一つ提案をする。

「じゃあ、僕のこと呼び捨てで呼んでもらえる?」
「え!? そ、そんなことできません! 白蘭様は俺のボスで……っ!」
「うん。だから呼んで欲しいの。もちろん敬語は抜いてタメ口もお願いね」
「そ、そんな……」

白蘭からの提案に少年は白蘭の手を頭に乗せたまま慌てる。

だが白蘭はそんな少年を見ながらクスクスと笑い始めるので少年は顔を真っ赤にしながら叫んだ。

「からかいました!? 白蘭様!」
「ごめんごめん。あまりにも面白かったから。でもからかってるんじゃなくて僕は本気だよ」
「うっ……。今じゃなきゃダメですか……?」
「ダーメ」

少年は白蘭がこのまま引かないことを分かり、白蘭の提案をため息をつきながら受け入れることにした。

「今からじゃないといけません?」
「うん」
「わかり……わかったよ。仕方ないな、白蘭は」
「それでいいよ」

少年が敬語を抜き、尚呼び捨てで自分の名前を呼んでくれたことに満足した白蘭は少年の頭から手を離した。

「それじゃ、今日は休んでいいよ」
「わかった。また後で来るな、白蘭」
「うん。また後でね、綱吉君」

白蘭は綱吉と呼んだ少年の頭をもう一度撫で、部屋を出ていくのを見送る。

部屋を出た綱吉、基(もとい)ツナは撫でられた頭を抑えながら廊下を歩き始める。

(白蘭様って本当に俺の頭撫でるの好きだよなぁ……ってまた“様”つけちゃってるよ俺! 癖だよなぁ……)

そのまま割り当てられた部屋へツナは歩いて行った。
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