混合

□光を失う大空
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「んなっ! 麗奈さん、それ本当ですか!」

教室のドアを開けようとしたら、獄寺君の怒鳴り声が聞こえてきた。そして天茅さんの嘘泣きの声も。

「うん……。また、ひっく……沢田君がね……っ」
「またアイツか……」
「マジ許せねーのな」

山本……。このまま開けたらまた……っ。

俺は教室から逃げるように来たばかりの学校を出た。

どうしよう。このまま帰れば母さんに心配かけるだけだし……。でも学校に行けば……。

「よぉ〜、こんなところで会うなんて奇遇だねぇ〜。沢田く〜ん」

かけられた声に反射的に顔をあげれば、不良達が俺を囲んでいた。

「また遊んでくれよー」

この人達、この間天茅さんの言葉とお金に動いていた不良達だっ。逃げなきゃ。

そう思うのにここ最近の事がフラッシュバックし恐怖で足が動かず、声で否定することしかできない。

「……ぃやだっ……!」
「そんなこと言わずに。なあ!」

ドカッ

殴られた拍子に路地裏に飛ばされてしまった。

ドサッ

「痛っ……!」
「今日は何して遊ぼうか」

不良達は少しずつ近づいてくる。

「く……来るな……っ」
「連れないなぁ、綱吉くんよぉ」

バキッ

周りに不良達がたまり、取り囲んで蹴ってきた。

「……っ……ァ!」

俺、このままいつか死んじゃうのかな……。

そう思っていると、不良達とは違う声が聞こえてきて俺は沈みかけた意識を浮上させた。

「おや〜。一人を大人数で囲むなんて酷いっすね〜。お巡りさん呼んじゃいますよ〜」

その声はどことなく、不良達を挑発しているようにも聞こえた。
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