導きの光

□第3夜 白髪の少年
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「アリシア、いるか?」



ノックの音と共に、科学班班長・リーバー・ウェンハムの声が聞こえてきた。



すぐにドアが開けられる。



「リーバー、どうかした?」



部屋から顔を出したのは、17歳になったアリシアだ。



「ああ、夜中に悪いな。

室長が呼んでる」



「任務、か…」



アリシアは溜め息を吐き、ドアを閉める。



やがて再びドアが開いた時、アリシアは団服に着替えていた。



「それじゃ、リーバー。
行ってきます」



「ああ、行ってらっしゃい」



アリシアの後ろ姿を見送った後、リーバーは頭を掻きながら歩きだす。



「さて、仕事に戻るか……」



今日も彼らは、サービス残業のようだ。


















「夜中にすまないね。

悪いんだが、今からインドへ向かってくれ」



「了解。 行ってきます」



「行ってらっしゃい」というコムイの言葉を聞いて、アリシアは地下水路へと向かう。



「あれ、ダグじゃない」



「アリシア!」



水路では、ちょうど出発しようとしていた小舟に見知った人物が乗っていた。



探索部隊所属のダグだ。



「ダグもこれから任務?」



「うん。
エリゼっていう町での奇怪を調査しに行くんだ」



ニコニコと笑うダグ。
童顔も相まって、かなり可愛らしく見える。



ちなみに、アリシアとダグは兄妹のように仲が良い。



ダグに「人柄を判断する時は、相手の目を見るべき」と教えるほどに、アリシアはダグを信用していた。



「探索部隊はいつも多忙ね。

気を付けてね」



「アリシアこそ、気を付けて」



短い会話を交わした後、アリシアとダグは別れる。



これが、ダグと交わした最後の言葉だった―――――……。






               
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