導きの光

□prologue
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そこは、広い廃墟だった。



ほんの数時間前まで人々の笑顔と活気で溢れていた小さな町。



何があったのか、町の賑わいも今では見る影もなく、血と瓦礫だけが月明かりに照らされ、不気味な様相を浮かべるのみ。



そんな町の中心に佇む、一人の幼い少女がいた。



「お父さん、お母さん……どこにいるの?」



切れて血が滲んだ唇から発せられる、か細い声。



身体のあちこちが傷だらけで服もボロボロの少女は、痛む足を引き摺りながら廃墟と化した町を彷徨う。



どこを見渡しても、町の残骸と血の海だけが広がっている。



穴の空いた服は見つかっても、肝心の持ち主の身体の代わりに、砂の山だけが残されている。



生存者は、自分一人だけ。



残酷な現実を突き付けられた少女は、その場に膝から崩れ落ち、両手で顔を覆った。



「ごめんなさい…、ごめんなさい……っ」



嗚咽に混じり、聞こえてくる謝罪の言葉。



誰に向けた、何に対する謝罪なのか。



その意味を知る者は、少女以外誰もいない―――…。




               
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