L.S
□痛くないよ、君がいるなら
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その言葉が、
馨のその言葉が突き刺さって
胸が痛くなった
僕が馨に言った言葉で
こんなに泣きそうな馨がいる
張り上げる痛くて悲しい声
立ち上がったその音に
クラスの皆が、見ていた
馨がそこまで敏感で感情的に怒鳴るなんて…全く計算外だった
「ごめっ…馨」
「っいやッ───!!!」
───ガタッ…ガタンッ!!
走って行こうとする馨の腕を捕まえて引き寄せようとした瞬間
馨に体を思いきり押されて
机に背中から突っ込んだ
「光君!!大丈夫ですのっ!?」
「どうなさったのかしら…馨君」
背中には何も痛みなんか無い
腕だって、押された体だって痛くないのに
「それにしても凄い拒絶だったな……」
「ああ、殴り合いにでもなるかと思ったよな」
────っいやッ───!!!
「馨…」
────どうしたら…居場所ができるのッ……──!
何処も痛みなんて無いはずなのに
痛いのは背中の筈なのに
僕はただ胸が痛くて
まるで馨とリンクしたように
僕はそのざわめく中で
たった一筋、涙を流した。
痛いのは、誰でもない
『馨』だったから
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