L.S
□痛くないよ、君がいるなら
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「木乃宮…ひかる、───あははっ、びっくりデショ!輝くって書いて『ひかる』って読むんだ、凄い繋がり……」
「だよなー凄い複雑な繋がりダヨ。じゃあやっぱ伯父さんからかあ」
「電話?」
「ん。“木乃宮 輝”って出てたからサ。良かったジャン、心配されてて。急ぎじゃないみたいだけど…電話かけてくれば??」
────あ、まただ。
「ううん、いいや…」
また、あの眼
一人でいる時と同じ
無感情で遠くを見る、あの瞳
なんでだろう
僕は馨の他にも、ああいう瞳をした人を知ってる気がする
「馨ー……?ぁ…寝ちゃったワケネ」
僕が風呂からあがってくると、馨は珍しくバスローブの侭で眠ってた
規則的に聞こえる寝息が
僕はなんだか嬉しくて
振動をおこさない様にベッドに腰かけて
薄着の馨に、布団をかけてやった
「……虫さされ?」
首元の赤い痕。
パッと見た感じの印象に、首を傾げて
虫にも好かれる弟にちょっとだけ同情しながら
僕はその日、懐かしい夢を見た
───光君、こちらで一緒に遊びませんか??
───常陸院君、今度の休みは僕の家で一緒にお茶でもしないかい??
───常陸院君
───光君
───常陸院さん
───……馬っ鹿じゃないの…?
寂しくて寂しくて
誰かに側にいて欲しいのに
上手く伝えられなくて
───常陸院光君?どうして君はいつもそんなに寂しそうなんだい??
───ふざけんなっ…わかった口聞くなよ!
───わかるよ、常陸院君
───わかってるよ──…
ただふてくされていただけの、僕
遠巻きに見て、溜め息を吐くだけの僕
馬鹿じゃないのって
くだらないって思いながら
皆を遠くから、見て
───あれ??
それ、って─────…
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