Novel2

□『Your and my distance』
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舞い散る桜の中


桜より


美しい人に


出会った



――――――――

二年の春


一年から入っていた部活、テニス部の部室に仁王は向かっていた


学校に植えてある桜は


満開で


花弁が


風で舞い散っていた






桜舞い散る中に

人がたっていた


漆黒の髪に
すらりと高い長身
閉じているのかわからないが切れ長な目
和服が似合いそうな青年が桜を眺めていた


ふと足を止めこちらを見ている自分に気がついたのかこちらを見やった
相変わらず目は閉じたように細いままだったがうっすらと覗いた瞳がこちらを見た




引き込まれてしまいそうになった





――――――――――





我にかえり部室に向かうとみんな集まっていた


「仁王君…遅刻ですよ」

「ぎりぎりセーフじゃろ?」

「たるんどる!!」

「真田うるさいよ…」

真田が大きな声で怒ってきたが幸村に反対に怒られしょげている


「すまない…遅れてしまったようだな」

部室に仁王より遅れて入ってきた相手をみやった時、驚きのあまり声が出そうになった

「柳が遅刻にしては珍しいね…何かあったのかい?」

「ただ…桜が綺麗で見とれていただけだ」

笑いながら仲良く3人で話し始めた幸村達を見ていたが特に柳から目が離せなかった

「仁王君…?どうかしましたか?」

「いや…なんでもなかよ」


あの舞い散る桜の中


立っていたのは


柳だった


桜よりも美しい人に


恋をした


それは


けして


叶わぬ恋
 

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