short
□バレンタインと言う名に便乗して
1ページ/2ページ
「チョコレート頂戴」
「なんで」
「バレンタインだから」
「普通逆じゃない?」
「私達に普通なんて通用しないでしょ」
「屁理屈」
「それに、世の中には逆チョコと言うものがありましてね?」
「関係ない、バレンタインなんて」
「ケチ。ちぇー、暇だよ、買い物行こ」
「俺、仕事中だから。それにチョコ買うなら明日にしなよ」
「やっぱケチくさいわね」
「でもそうでしょ?」
「まあね」
今日は女の子の味方、バレンタインデー。
しかし、私達の間にはそんなもの必要としない。
チョコも明日買いに行けば半額で手に入るだろう。寧ろ盗んでしまう方が私達らしいが。
「ねえ、板チョコぐらいないかしら」
「さあ?…よし!書類完成!じゃあ団長に渡しに行くね」
「…いってらっしゃい」
いつも思うけど、メールじゃダメなのかしら?
あ、団長パソコン持ってなかったや。
さて、喋り相手がいなくなってしまって更に暇になった。
携帯でチョコレートの画像を物色する。
うわあ、このドライフルーツをコーティングしたチョコ美味しそう。こんなもん見てたら無性に食べたくなってくるわ。
よっこらせ、とおばあさんのように立ち上がり冷蔵庫を確かめに行く。
やっぱりあった、板チョコ。
つけっぱなしのパソコンでレシピを検索してみる。
…暇だし、作ってみるか。