今を生きる私
□点と念と纏と練と系統
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旅団内恋愛禁止、とクロロが断言した日から一ヶ月が経った。それはあまりにも早く過ぎ去った。
クロロ直々の指導の下筋トレに励んだせいで、私の華奢な身体には筋肉がついていた。
筋肉つけすぎると胸が大きくならないんじゃないっけ?と嫌な予感がしたが、強くならずしてクロロの玩具は務まらないだろう。
ホテルでシャルがいなくて暇なとき、通販で買ったダンベル等を使って筋トレをするのが日課になってしまった。
暇な時間を筋トレに費やす日がこんなにも早く来るだなんて思わなかったよ。
ホテル、シャル、と言えば。引っ越しを一度だけした。引っ越しと言うと意味が違うと思うけれど。
シャルがホテルを変える時、私も一緒について行ったのだ。
ツインベッドにしたのだが、まだ寒いので一つしか使用していない。残ったベッドの上には私の荷物(脱ぎ散らかした服など)が無残に散らばっている。
シャルに作って貰った朝食を頬張り、アジトへと向かっている途中である。
今日からついに念の修行を取り入れることになったのだ!
「クロロ、おはよ」
アジトの汚い門をくぐると、いつもの場所でクロロが本を読んでいた。私の呼びかけに気付いた彼は本を閉じ、すっくと立ち上がり、厳格な顔付きで「始めるぞ」とだけ言った。
「今日からは念の修業でしょ?まず、どうするの?」
「ああ、腕立て腹筋を100回ずつしてからだ」
「げ、まじでか」
「筋トレは毎日欠かさずする。昨日そう言っただろう」
うーん、覚えてないなあ。
念の修業に移れると聞いて舞い上がっちゃったからかな。
さっさと腕立て腹筋を終わらせた。今では全く余裕だ。これもこの筋肉のおかげ。
あ、胸。と思い出し、小さくため息をついた。
「どうした、念は奥が深いからな。真面目にやれよ」
「うん、わかってるよ」
そう言って、今まで身体の中に留めておいたオーラを出す。
心を沈め、初めてした時のことを思い出し、纏を行った。
「…自主練してたのか」
「うん。でも点の方ね」
あの日から点を続けていたら、少しずつ記憶が蘇ってきた。忘れかけていたこの世界の未来の道筋も、以前程ではないが思い出せている。
これからも忘れないように文字に記そうかと考えたが万が一誰かに見られると困るので、実行に移せていない。記憶は全て私の頭の中が頼りでしかないのだ。
クロロはニヤリと笑った。
「よどみなく綺麗な纏だ。よし、練の習得に移るか」
朝起きてすぐと寝る前に点を取り組んでいた。その成果が実ったようだ。これといった達成感は感じられないが、嬉しく思った。
「練って、オーラを練って増幅させるんだっけ?」
「ああ。出来るか?」
「やってみる」
なんだっけなあ、覚えてない。