今を生きる私
□そうか、盗賊だったんだ
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ぱちり、と目が覚めた。良い匂いが漂っている。
むくりと起き上がり、辺りを見渡した。
見慣れない風景、と寝ぼけなまこで思っていたら、
「起きたのかい?」
と母親ではない声が耳に届いた。
そうか、ここはHUNTER×HUNTERの世界だ。そして今、私はマチの部屋にいる。
声のした方を向いたら、マチがフライパンを持って立っていた。
「おはよう。朝?」
「ああ。ご飯、今作ってるからもう少し待ってて」
わかった、と言って立ち上がる。
…お風呂に入りたい。
昨日はあのまま寝てしまったし、着替えてさえもない。そう思ったが、衣服を持っていなかった。
そもそも中学生の身体に戻っているのだから、サイズが合っていない。と言ってもほぼ変わらないのだが。
身長は小学校6年生の頃から止まったままだし、体重は、うん、アレだ。スカートもベルトをしているから、問題はない。ただ、胸がぶかぶかである。昨日から少し違和感を感じていたが、それもそうだろう。
「ルイ、シャワーを浴びておいで。着替えは私のを貸すから、今日買いに行こう」
「…マチの服!!!!」
「そのまま買いに行こうか?」
あ、つい興奮が声に出てしまった。手で口元を押さえる。
「すみません、シャワー浴びさせていただきます」
シャワーを浴び終わると、ご飯が並んでいた。食パンに目玉焼き、ウインナーとサラダだ。
「マチの手作り料理にマチの洋服、マチの香り…!」
「ねえ、ちょっと本当に気持ち悪いんだけど」
「あ、ごめん。本音が」
食パンは外カリカリに中はふわっとしているし、目玉焼きもちょうど良い焼き具合だ。サラダのドレッシングもマチの手作りらしい。
ドレッシングがとても私の好みで、サラダを何杯もおかわりした。
勿論、他のも全て美味しくいただいた。
よく食べるねえ、と驚いていたマチだが、どことなく嬉しそうだった。
完食し終わった後、今までの朝ご飯で一番美味しかったと伝えると、
「作った甲斐があったよ」
と頭を撫でてくれた。
「マチ、あんなに料理が上手だなんて驚いたよ」
「あたしはあんたの食べっぷりに驚いたよ」
「えへへ、美味しくって」
「じゃあ、片付けてから買い物に行こうか」
片付けは私も一緒に手伝った。