今を生きる私
□シリアスだって作れちゃうんだから
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「何故避けた」
クロロはじっとこちらを見つめてくる。目が合うのは二度目ですねきゃは、なんてことを言う余裕などない。
ここは正直に、言える範囲内だけで答えよう。勿論この場を切り抜け、今後一切疑われることがないようにだ。
私は頭は良くない。顔も良くないとか言うなよ泣くから。
頭の回転が遅い私だが、気が付けば言葉が出てきていた。
「クロロは今いくつ?」
突然の質問にもビクともしない。
いきなり飛びのいたことと、この質問が関係していることを悟ったのだろう、すぐに答えてくれた。
「今年で24だ」
原作が26だったはずだから、約2年前か。シズクが蜘蛛に入団したのもこの年だったな。
そして私の身体は髪の長さから中学1年か2年と推測される。同じ月日を遡ったとしたら14歳になるのだろう。
全体的に2年の時間差があるということだ。
それがわかったので本題に入る。
「クロロは未来が気になる?」
この質問に答えるのに、先程よりも少し遅れた。当たり前か。
「ふむ、未来はこの世の全ての情報の内で皆が一番欲するものだろう。しかし今の俺には関係ないと言えば関係ない。」
「…さっきパクが言ったとおり、私のいた世界ではクロロ達が物語として描かれていた。だから、ここの未来が少しはわかる」
ウボォーとノブナガは、一体何がどうしたのだというような顔をして私とクロロ、パクを交代に見つめていたが、私がここまで話すと二人はお互いを見つめ、奥へと行ってしまった。
「私がここに来たことによってこの物語のストーリーを大幅に変えてしまってはいけないと思うの。部外者の私の侵入によって未来を目茶苦茶にしちゃいけないと思うの…!」
力強く言ったつもりだ。これでわかってもらえなかったら、私はこの世界を掻き乱すことになると思ったから。
「だから、パク、もう、私の記憶を読んではいけない。…絶対に阻止してやる!と言いたいところだけど、私には無理。弱いから」
「わかったわよ」
お願いする前にそう言われてしまった。
お願いだから未来を読まないで
「別にいいわよね、団長」
「ああ、必要ない」
「パク…、クロロ」
「それより、ルイとか言ったな、お前。どうだ、うちにいては」
「は?」
まずクロロが何を言っているのか理解出来なかった。
「まだまだ未熟だが、訓練の仕方によっては、ぐんぐん伸びるだろう。潜在能力はなかなかのものだ」
突然のクロロのお誘いと褒め言葉に、言葉を失った。
「い、いてもいいの?」
当たり前だ、という目で見てくれた。パクに視線を移すと、優しく笑っていた。
思わず涙が出そうになったけれど、ウボォーとノブナガに阻止された。
「おい、話は終わったのか?」
「こいつは新しい仲間なのか?」
クロロもパクも頷いた。
これで私も決意を固めた。
息を吸う。思い切り。
「タナカルイと申します!よろしくね!」