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□友達以上恋人未満
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今日は、久しぶりの雨。

朝から何か、嫌な予感がする。



1週間前から約束していた友人との外出も気が引けた。
それは雨のせいか。
私の勘はなかなかに当たるからか。
憂鬱な気分で待ち合わせ場所に向かうため、家を出る。



私は時間ぴったりに着いた。友人はいつものように5分遅れてくるだろう。


家を出た時には憂鬱になるくらいに降っていた雨も、公園まで来ると、もうほとんど止んでいた。


ふう、とため息をついて辺りにあったベンチに腰をかけた。
あと、3分か。



雨のせいで、この公園には誰もいない。
ブランコは空のまま風に揺らされ、すべり台は雨粒をすべらして遊んでいる。

誰もいない公園というものは、実にさびしい。


「ちょっと、顔が大変キモいことになってるけど大丈夫?」


「だぁぁぁああぁぁ!!!!」


ものおもいにふけっていた私をキモいと言い放ったのは、友人シャルナーク。


「もう!今日は真剣に行こうかなって思ってたんだから、邪魔しないでよね!?」


「その顔治さない限り、真剣にはできないよ、俺が」


「さらっとひどいこと言わないでください。そしてちゃっかり自分中心に話さないでください」


いいですよー。どうせ私は不細工グランプリ1位を獲れちゃうぐらいの変な顔ですよー。


「自分で自分を汚しちゃったね」


「勝手に人の心を読むなぁぁぁああぁ!!!」


「それより、あっちに車あるから行くよ」


にこり、と一見爽やかそうな笑顔をして、背を向け“あっち”に歩き出す。
当然のように私はシャルの笑顔の後を追う。



出会った始めはこの笑顔に惹かれたんだ。こんな綺麗な顔立ちをして、それ以上にない爽やか笑顔に。

惹かれた私は、やはり馬鹿だった。




それより、1週間前に約束していたのだが、シャルは私をどこへ連れて行く気なのだろう。
未だに行き先を教えてくれないシャルは、問うても笑ってばかりだった。
勿論あの、一見爽やか笑顔で!



「ねぇ、もう行き先教えてくれてもいいんじゃない?」


「あはは、そうだねぇ?」


この笑顔。

コ ノ ヤ ロ



車の中は、まさにシャルの匂いでいっぱい!
別に私が変態なわけじゃないんだからね?
一部の性格を失くせば、パーフェクトなんだもん。


「ちょ、ルイ。鼻息荒すぎ。普通にできないのかな?」


これさえなければ…!パーフェクトっっ!!!


「ね、今すごく失礼なこと考えてたでしょ?死にたいの」


「考えてませんんんん!!!」
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